この1年で、組合員の25.8%に相当する29人が廃業ーー。大手コンビニオーナーでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」が組合員の減少に悩んでいる。
同ユニオンは、「コンビニオーナーは労働組合法上の労働者」という立場。チャージ(粗利に応じてオーナーが本部に納めるお金)の引き下げや24時間営業の見直しなどについて団体交渉を求め、セブンイレブンとファミリーマートの本部を相手に中央労働委員会(東京)で争っている。
来春にも結果が出る見通しだが、仮にユニオン側が勝っても、舞台を裁判に移し、最高裁まで行くのは必至。ユニオンを結成した2009年に始まった争いは、10年近く経った今も解決されないままだ。
コンビニの飽和や人件費の高騰、自らの長時間労働に加え、先が見えない「持久戦」にオーナーたちが疲弊している。(編集部・園田昌也)
●組合員は前年比35人減、うち29人が廃業
8月21日、京都市内で開かれた、ユニオンの「第10回定期大会」。最大のテーマは、組合員の減少についてだった。ユニオンによると、大会の時点で前年の112人から約3割減の77人になった。
減った35人のうち、29人が廃業だといい、コンビニ業界の厳しい現状が推察される。残る6人も会員減に伴う組合費の値上げなどに反対してのものだったという。
ユニオンは、セブンイレブンについて2014年(岡山県労働委員会)、ファミリーマートについて2015年(東京都労働委員会)に、本部は団体交渉に応じるべきとする初の命令を勝ち取った。
しかし、本部は命令を受け入れず、中労委に再審査を請求。この間、いくらかの待遇改善はあったものの、ユニオンが求める抜本的な解決にはつながっていない。中労委の結果は、来春までに出ると見られるが、解決まではまだまだ時間がかかりそうだ。
一方、ユニオン側にとっては、争いが長引くことで、役員の出張や打ち合わせなどの費用がかかる。加えて、多くのオーナーは人件費の削減や人手不足のため、長時間労働をしながらの組合活動を余儀なくされている。
少ない人数で実績はあげてきた一方、持久戦になるにつれ、「団結しても保証がない」(ユニオン役員)ことへの疲弊感が組合員の減少を生んでいると見られる。
●オーナー間での認知度向上を目指す
ユニオンは今年、米セブンイレブンのオーナー団体(NCASEF)に招かれ、その大会を視察した。団体には、現地セブン店舗の約95%が加盟しているといい、日本との差に驚いたそうだ。
ユニオンでは今後、「自分のおかれている現状を知らないオーナーもいる」などとして、各地でフランチャイズ(FC)契約について学ぶ会合を開き、ユニオンの知名度を高める考え。
また、米国など他の先進国には、FCビジネスを規制する法律もあるが、日本にはぴったりと適合する法律がない。国会ではこの点について、十分な議論が進んでおらず、ユニオンはFC規制法の成立を目指し、ロビー活動を続けて行くという。
(弁護士ドットコムニュース)