コンビニ業界4位と6位が反転攻勢 地方の買い物難民救えるか

 コンビニエンスストア業界で下位に甘んじる2社が反転攻勢をかけている。
 今後3年間で1800店の出店をぶち上げたのは、業界4位のサークルKサンクス。本来なら2004年にコンビニ同士の合併で規模の拡大やシナジー効果を上げるはずだった。
 しかし、長らく店舗数は約6200店で横ばい、売上高も1兆円弱と振るわなかった。首位のセブン―イレブンが1万5000店、3兆円超の規模を誇っていることと比べると、いかに低迷していたかが分かる。
 苦戦を強いられてきた原因は何か。業界関係者が打ち明ける。
「2つの看板が一緒になって、商品開発や物流システムを統一するのに時間がかかったうえに、フランチャイズ加盟店が本部に支払う対価(ロイヤリティ)の調整がうまくいかなかった」
 だが、ようやく昨年から上位3社(セブン、ローソン、ファミリーマート)を追撃する態勢も整ったという。遅きに失した感はあるが、親会社である総合スーパー・ユニーの完全子会社になったことで、生鮮食品や総菜がずらりと並ぶ“スーパー型コンビニ”に変貌を遂げる選択肢も広がった。
『コンビニと日本人』(祥伝社刊)の著者で消費生活コンサルタントの加藤直美さんがいう。
「もともとサンクスは著名料理人とコラボした高級弁当で食品工場の開発力を高めたり、サークルKは別業態で店内調理のパスタを作っていたりと、大手3社に劣らない商品開発力を持っています。そこにユニーのPB(自主企画)商品をうまくコンビニ向けに応用できれば、再び存在感を示すことができると思います」
 もう1社、虎視眈々と再起を図っているのが、業界6位のデイリーヤマザキだ。
 こちらは親会社の山崎製パンに吸収合併されることが決まり、焼きたてパンなど店内調理に活路を求めている。現在、店舗数は約1600店、売上高は2292億円と上位コンビニとは大きく水をあけられているものの、明るい展望はある。
「山崎製パンはコンビニよりも規模の小さい『ヤマザキショップ』を3600店展開しています。ここは本部企業とのみ契約するフランチャイズシステムではなく、独立した加盟店同士が連携して仕入れもできるボランタリーチェーンの形態を取っています。つまり、地域のニーズに合わせた店舗がつくれるのです」(前出・加藤氏)
 店頭で地元農家がつくった野菜を売ったり、地域限定商品で固定ファンを増やしたりすることも可能なこのシステム。もともとコンビニ業態はボランタリーチェーンから始まったのだが、急激な店舗拡大には不向きなため、次第にフランチャイズシステムが一般化した歴史がある。
 だが、“地域密着型”の復活こそコンビニが生き残る道だと、加藤氏は力説する。
「コンビニが5万店を超えて飽和説が飛び交っていますが、それは都市部だけの話。田舎に行けば、まだまだコンビニのない町はたくさんあります。買い物難民だってさらに増えていくでしょうしね。そこで、サークルKサンクスやデイリーヤマザキが地域のニーズを捉えて固定ファンに支持されれば、地域の重要な生活インフラになれるはずです」
 9兆円の市場規模に年間143億人の来店客数――。それでもなお発展し続けるコンビニに、一体どれほどの潜在需要が眠っているのだろうか。それを見定める意味でも、下位チェーンの新たな戦略に注目したい。

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