世界的にコーヒー人気が高まるなか、気候変動の影響でコーヒー豆の生産に適した土地が2050年ごろまでに激減するという問題が注目されている。
業界で「2050年問題」といわれ、国内外のコーヒーチェーンや食品大手は、生産の維持を念頭に品種改良などの対策に乗り出している。
コーヒーの生産地は、赤道を挟んで北緯25度~南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域に集中している。温暖で、雨期と乾期がはっきりしている気候が栽培に適しているためだ。昼夜の寒暖差が大きいほどおいしく育つとされ、農園は標高が高い場所に多い。
国際コーヒー機関の統計によると、17年度の生産量は世界で約900万トン。20年前と比べて1・5倍に増えた。最大産地はブラジルで、2位はベトナム、3位はコロンビアだった。
商業的に扱われるコーヒーは、主に酸味と香りが強いアラビカ種と、苦みが強いロブスタ種の2種類で、アラビカ種が総生産量の約6割を占める。豊かな風味を持つ一方、気温の変動や病害虫に弱い特徴がある。
国際研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」は、このアラビカ種について「現在は生産に適した土地の半分以上が、50年までに生産に不適切な土地になる」と警告している。例えば最大産地のブラジルでは、生産に適した土地の約60%が失われると予測している。
生産地の激減予測の原因は、気候変動だ。異常な暑さになったり、雨期と乾期のバランスが崩れて長期の干ばつに襲われたりする生産地が増え、栽培が困難になるという。また、環境が変われば、コーヒー栽培に深刻な打撃を及ぼす病害「さび病」が増えるという見方もある。