《最近のCM見てるとピコ太郎にゴリエって今本当に令和だったか不安になる》
《テレビ観てたら「ゴリエのエアコンクリーニングのCM」「ピコ太郎の袋ラーメンのCM」と連続して流れました。急にタイムスリップした感覚》
《ゴリエといい、ピコ太郎といい、懐かしくて盛り上がっちゃうよね》
ここ最近、散見されるこのようなツイート。いったい何を指しているのかというと……。
「エアコンクリーニングや引っ越しなどのサービスを提供する『くらしのマーケット』は、ガレッジセールのゴリさんが演じる『松浦ゴリエ』を、日清食品の『ラ王』は『ピコ太郎』さんをCMで起用。どちらのキャラクターも、脚光を浴び人気が爆発したのは数年前で“今”ではないキャラクターですが、逆にそのことがSNSを中心に話題になっています。時代と“ズレ”のあるCM起用が増えている印象ですね」(広告代理店関係者)
ゴリのキャラクター『ゴリエ』は、ガレッジセールが出演していたバラエティー番組『ワンナイR&R』(フジテレビ系)で生まれたキャラクター。『ワンナイ』の最終回は’06年なので15年以上前の人気キャラといえる。
また、ピコ太郎が『PPAP』で世界的にバズったのは’16年だ。なぜ時代遅れとも言える“ズレ”のあるキャラクターをCMで起用するのか。それぞれの企業に起用の理由を聞いた。
ガレッジセールも起用に驚き
まずは、ゴリエを起用した『くらしのマーケット』。メイキング映像によると、当事者であるガレッジセールの2人ですら、「ドッキリかと思った」と話している。
確かに15年も前に終わった番組のキャラクターにオファーが入ったのだ。お笑い芸人の立場からすれば、いつドアの向こうから「すみません、『水曜日のダウンタウン』です」「何の“説”かわかりますか?」と、ドッキリの番組スタッフが入ってくるのかと待ち構えてしまうようなシチュエーションではある。
「『くらしのマーケット』のCMターゲット世代は当時、ゴリエちゃんの登場に衝撃を受けたと思います。中学生のときにゴリエちゃんのキーホルダーをつけていた、高校生のときに学校で踊ったなど、自分とゴリエちゃんとの思い出がそれぞれあるだろうなと。それをCMをきっかけに思い出して、話題にしてほしいなと考えたのです」
そう話すのは、『くらしのマーケット』を運営しているみんなのマーケット株式会社のCM企画担当者。CMの放送スタートは4月15日。現在までの反響はどうなのか。
「CM放送開始とともに『ゴリエ起用』のニュースがYahoo!トップに上がり、Twitterでトレンド入りするほどの大きな反響がありました。SNSでは“CMを見られてうれしい”“くらしのマーケットさんありがとう”という声をいただいたのが印象的でしたね。
CMは“企業からのお知らせ”ですが、それを受け取った視聴者の方に喜んでもらえるということに、ゴリエちゃんの人気を改めて感じました。CMの効果も良好です」(みんなのマーケット株式会社CM企画担当者、以下同)
2人の掛け合いにスタッフも爆笑
出演したゴリ自身、「コントの現場のような、おもしろければいいじゃんという雰囲気を作ってくれていた。くらしのマーケットさんヤバいなって」と話す。一世を風靡したキャラの10数年ぶりのCM出演だったが、現場の雰囲気は?
「“ゴリエちゃんのよさを消さない”ということは心がけていました! 過剰に演技指導せず、ゴリエちゃんらしい言い方、振る舞いを自然に出してもらうことがおもしろさに繋がると思っていました。
あと、撮影現場ではゴリさんとしてではなく、終始『ゴリエちゃん』として接していました(笑)。ゴリさんのほうでも終始ゴリエちゃんとして振る舞っていて、さすがプロだなと。川田さんも、ゴリエちゃんの圧に負けずに細かいリアクションを入れてくださっていて、いろいろなバリエーションのカットが撮影できました。
おふたりのリアクションに当社の社員が思わず大きな声で笑ってしまって“映像に入っちゃったかも……”みたいなシーンもありました。楽しい雰囲気を作ってくださった現場だったと思います!」
『ピコ太郎』出演、CM好感度調査で上位に
続いてはピコ太郎。こちらはロングセラー商品『ラ王』をフライパン1つで簡単に作るということを伝えるCMだ。“ペンパイナッポーアッポーペン”で、日本だけでなくあのジャスティン・ビーバーの心も捉えたピコ太郎の起用の理由は。
「誰もが知っている『PPAP』の前奏はとても耳に残るフレーズで、『フライパンラ王』という言葉を視聴者のみなさまの印象に残すのにぴったりだと考え、ピコ太郎さんを起用させていただきました」
そう話すのは、日清食品ホールディングス広報部。こちらの放送スタートもゴリエと近い4月21日だ。反響は?
「CM総合研究所が実施している5月度のCM好感度調査にて、食品業類304作品中4位という結果でした。また、SNS上でも“耳に残る”や“CMで見てフライパンラ王やってみた”などのコメントも見受けられ、狙っていた反応を得られたと考えております」(日清食品ホールディングス広報部、以下同)
YouTubeチャンネルなど、ゴリエとは少し違い現在も楽曲を発表しているピコ太郎。こちらの撮影現場では……。
「ピコ太郎さんには楽しみながら撮影に臨んでいただき、『フライパンラ王』のフレーズをシーンごとにさまざまなパターンで言ってくださいましたね。ピコ太郎さんご自身から面白い言い回しのアイデアを次々と出していただき、あっという間に100パターンほどの撮影が完了していました。スタッフ一同、時間がたつのを忘れるほど楽しい撮影現場でした」
2社ともにかなりの反響を得たようで、起用は成功だったと言えるだろう。また、この2組以外にも「ありがとう オリゴ糖」といったラップ芸で’08年にブレイクした『ジョイマン』なども、実は最近CM出演が増えている。もしかしたらこの先、“時代遅れ”CMがトレンドになるかも!?