ゴール!叫び20年 J1仙台のDJ大坂さん退任

サッカーJ1仙台のホーム戦のスタジアムDJとして長年、サポーターに親しまれてきた大坂ともおさん(48)が今季限りで退任する。クラブが6日発表した。担当して20年の節目を一区切りと考えての決断という。ユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区、ユアスタ仙台)で5日にあった天皇杯全日本選手権準決勝のJ2山形戦を最後に、クラブとサポーターに別れを告げた。

 「ゴール!」。1万6000人を超す観客で埋まった5日のユアスタ仙台。仙台の得点を告げる大坂さんの声が高らかに響き渡った。仙台は3-2で快勝し、初の天皇杯決勝進出が決定。試合前に話していた「勝ってほしい。(選手に)『ゴールと言わせろ』と言いたい」との願いがかない、有終の美を飾った。
 スタジアムDJは試合で場内アナウンスや選手紹介などを担当する。仙台市出身の大坂さんは東北福祉大在学中からラジオなどで活動し1998年、前年に開場したユアスタ仙台のスタジアムDJに就いた。
 「前に出過ぎず、かつサポーターを引っ張ることを心掛けた。はっきりした日本語で親しみやすく語るようにした」と大坂さん。「ゴール!」と伸びのある声でサポーターの歓喜を後押しした。
 クラブやサポーターと共に歩んだ20年間の思い出は「語り尽くせないほど」。
 2009年のJ2優勝、東日本大震災から約1カ月半後に再開した浦和戦など節目の試合も担当した。「被災して最初の試合は、大きな被害が出た悲しみと日常が戻った喜びで泣いていた」と振り返る。当時指揮を執った手倉森誠元監督(青森県五戸町出身)の「(チームを)被災地の希望の光に」との決意の言葉も深く心に刻んだ。
 後進にバトンを渡した後も、イベント司会や取材などを通じてクラブに関わる予定。ユアスタ仙台でも来年以降開催の天皇杯で引き続きマイクを握る方向だ。クラブを通じて「日本一のサポーターとユアスタ劇場でさまざまな思いを一緒に味わえたことは一生の宝物。ベガルタ仙台を応援していくことに変わりはありません」と別れのコメントを残した。

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