ゴーン事件で問題視された高額役員報酬 日本で一番高い報酬は意外にもあの日本人

カルロス・ゴーン逮捕の報道は、世界に衝撃をもたらした。ルノーのお膝元であるフランスだけでなく、他の欧米メディアも今回の事件を大きく報じている。

とくに注目されたのが、役員報酬に関する話題だ。欧米と比べて日本の経営者は役員報酬が多くないことを「ニューヨーク・タイムズ」は競合他社と比較する形でこう説明している。

「日本人の企業幹部の報酬は通常、欧米人の企業幹部のそれよりずっと低い。たとえばトヨタの内山田竹志会長が受け取った2017年の報酬は、1億8100万円だった。一方、ゴーンの報酬は7億3500万円だったと報告されている」

さらに、ゴーンが日本だけでなくフランスでも、報酬を巡って物議を醸してきたことに言及。ルノー株の15%を保有するフランス政府が裕福な企業経営者と労働者の格差是正に努めていることに触れた上で、ゴーンが熾烈な戦いの末に740万ユーロの報酬を勝ち取ったことを伝えている。

また、英「フィナンシャル・タイムズ」は「今回のスキャンダルが、法外な額の報酬に対する日本人の憤りを強めるだろう。日本で高額な報酬をもらっている経営幹部トップ10の半分は外国人が占めている」(編集部注:「役員四季報」によれば外国人は7人)とし、「日本人は外国人の経営幹部たちが、本当に日本のビジネスにとって良い影響をもたらしているのか疑いを持っている」と述べている。

また、同紙は今年初めに行ったインタビューで、ゴーンが自らの報酬について弁護したこんなコメントを紹介している。

「昔に比べたら報酬はずいぶんと吟味されるようになりました。私なんかはいろいろと言われますよ。おまけにどんな形で社会貢献しているのかといったことも問われます。だからといって業績が下がっていいわけではありません。成長、利益、フリーキャッシュフローなどの基本的指標でCEOは絶対に結果を残さなければならないのです」

一方で、これほどの報酬をもらっていたゴーンがなぜ今回のような事件を起こしたかについて疑問を抱いているのは、どの国のメディアも同じだ。

米「ワシントン・ポスト」紙は「謎の一つは、あれほどの富を持つゴーンがなぜ自分の会社からカネをだまし取ったのか、だ」として、リッチモンド大学法科大学院のカール・トバイアス教授のこんなコメントで記事を締めくくっている。

「あれほどの金持ちなのに、会社と株主からカネをむしり取るなんて、かなり近視眼的にみえるね」

COURRiER Japon

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