サイバー攻撃に対策本部 相次ぐ中国発、五輪控え激化予想も

サイバー攻撃は世界的に年々激化しており、国内でも被害が続々と報告されている。官公庁や企業の内部情報を狙う攻撃は主に中国から仕掛けられているとみられ、対策の強化は喫緊の課題だ。

2020年の東京五輪を控え、攻撃のさらなる激化も予想されることから、首都警察の体制増強は日本のサイバー犯罪対策の最重要課題といえる。

警察庁によると、コンピューターウイルスを仕込んだ「標的型メール」や不正アクセスなどによるサイバー攻撃で今年上半期、日本年金機構など16組織が情報 流出の被害を受けた。現金などが狙われるサイバー犯罪も増加。インターネットバンキングの不正送金による被害額は昨年、29億円を突破した。

「こういった攻撃のほとんどは中国から仕掛けられている」と捜査関係者は警戒する。

平成21年以降に攻撃を受けた30以上の政府機関や企業で、ウイルスに感染したパソコンの約9割が、中国のサーバーやサイトに強制的に接続されていたことが分かっている。

今年6月に判明した日本年金機構が保有する年金個人情報約125万件が不正アクセスによって外部流出した事件では、感染したウイルスに中国語の書体(フォント)が使われていたことが判明。ウイルスの作成者が普段からパソコンで中国語を主言語に使っていた可能性が高い。

また、2012年のロンドン五輪では期間中、約2億件のサイバー攻撃が発生したとされるため、20年の東京五輪に乗じたサイバー攻撃増加も予想される。

捜査関係者は「東京には大企業や銀行、教育機関、官公庁などが集中しており、サイバー攻撃への対策は急務だ。警視庁のサイバーセキュリティ対策本部は重要な役割を担うだろう」と話している。(加藤園子)

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