サイバー選挙戦へ準備着々 ネット業界「解禁」見込みサービス充実

 インターネットを使った選挙運動が解禁される公算が高まるなか、ネット業界で次期参院選に向けた準備が着々と進んでいる。選挙期間中でもブログの更新や街頭演説の生放送などが可能になることから、業界は「情報がフレッシュになり、ユーザーも喜ぶ」と期待。政治家も「有権者に生のメッセージが届けられる」と歓迎している。今夏、サイバー空間の“選挙戦”が新たな盛り上がりをみせそうだ。(池田証志)
 ◆手応えあり
 「ネット選挙運動が解禁されれば、アクセス数は確実に増える。累計で100万はいくだろう」と話すのは今年4月、“解禁”を見込んで特設サイト「Infoseek×楽天政治 LOVE JAPAN 参院選特集2010β」を立ち上げた楽天。
 同サイトでは、すでに全国の立候補予定者の情報を掲載しているほか、ワンクリックで政治献金できる政治情報サイト「楽天政治 LOVE JAPAN」の内容を表示。200人以上の政治家のブログや動画、ツイッターの最新情報を見ることができる。
 20、21日には、東京・永田町で同サイトの政治家向け説明会を開催する予定。同社は「参院選が近づくにつれ、問い合わせが増えている」と手応えを語る。
 一方、日本最大級の850万人の会員を抱える「Amebaブログ」を運営するサイバーエージェントも4月、参院選を見据え政治家ブログを集めたサイト「Ameba政治家ブログ」を開設。「政治家の意見を多くの有権者に知らせるのはネットメディアとしての社会貢献」と位置づけ、今後、ネット上に広告を張るなど誘導を進める方針。
 タレントのブログを多く擁する同社は「誹謗(ひぼう)中傷や炎上への対策は得意。24時間、有人監視している」とアピールする。現時点の登録政治家数は70人で、個別に参加を呼びかける“営業活動”も展開している。
 ◆リアルタイム重視
 解禁を前提に選挙コンテンツの充実化に乗り出すプロバイダー系ポータルサイトも現れた。NECビッグローブは今夏から「党首インタビューやツイッターなどの口コミ分析の結果も紹介するつもり」という。
 このほか、動画サイト「ユーチューブ」と検索サイト「グーグル」を運営するグーグルは「新しい技術を取り入れ、リアルタイム化を重視することでユーザーのメリットを図りたい」。昨年の総選挙で投票動向調査や開票速報の生放送をして話題を呼んだ動画サイト「ニコニコ動画」は今年も同様のコンテンツなどを用意する予定。
 ◆政治家も歓迎
 ネット選挙運動を推進する民主党の藤末健三参院議員は「ブログで街頭演説を告知した上で、生放送したい。毎晩、豪華なゲストを呼んで討論を生放送し、視聴者からの質問にも答える」と意欲的だ。3年後に改選を迎える自民党の山本一太参院議員は「今回は応援演説の告知や動画出演などで協力できれば。若者の票の掘り起こしなど、ネットの影響力は小さくない」と話す。
 駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部の山口浩准教授は「選挙に関連するネットサービスが多様化すれば、選挙期間中の議論が活発になり、有権者の政治参加意識も強くなるだろう」とみている。

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