サクラを枯らす外来害虫「クビアカツヤカミキリ」の被害が埼玉県内8市の128カ所に広がっていることが分かった。県が今年度、ボランティアなどと初めて大規模調査を実施した。2017年度までに県内で報告された被害24カ所から大幅に増加しており、県は「被害の拡大が懸念される」として引き続き情報提供を求めている。
クビアカツヤカミキリは、元々中国などに分布するカミキリムシ科の昆虫。サクラやウメなど主にバラ科の樹木に卵を産み、幼虫は生木を食べて成長する。幼虫1匹の木を食べる範囲が中心にも及ぶため、木が枯れてしまうことがあるという。
国内では2012年に愛知県で初めて見つかり、13年には埼玉県南部でも確認。国は昨年1月、特定外来生物に指定した。
県は今年度、NPOや個人の県民と協力して、県内20市町250カ所の公園や学校に植えられたサクラを調査。幼虫のフンと木くずが混ざった「フラス」や成虫の発生状況の報告を集めた。調査結果を基に、新年度に県と被害発生自治体で連絡会議を開くなどして、情報共有や防除態勢を強化するという。【三股智子】