サンドウィッチマン効果で寄付額増加 宮城・山元の文化財「大條家茶室」修復

東日本大震災で被災した宮城県山元町坂元地区にある町指定文化財「大條(おおえだ)家茶室 此君亭(しくんてい)」の修復を目指し9月まで募っているクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税で、低迷していた寄付が上向き始めた。一役買ったのが仙台市出身のお笑いコンビ「サンドウィッチマン」。思わぬ援軍を得た町は目標額達成に向け、さらなる支援を呼びかけている。

 茶室は藩制時代に坂元を治めた大條家の本拠地、蓑首(みのくび)城跡に立つ。震災で基礎がゆがんで土壁が崩れ、ひさしが折れるなどしたが、町は被災者の生活再建を優先し、修復は手付かずだった。風雨による劣化や、県内で最大震度6強を観測した2021、22年の地震で被害が拡大した。

 文化財専門家や地元住民らの強い要望を踏まえ、町は22年5月、修復を決断。震災直後に3000万円程度と見込まれた修復費は、物価高騰の影響もあり7000万円以上に膨らんだ。

ラジオで発言、低迷から脱却

 3月に始まったCF型ふるさと納税の目標額は1000万円。5月下旬時点で200万円しか集まっていなかったが、同27日のニッポン放送のラジオ番組で風向きが変わった。

 伊達みきおさんは「僕もこれから寄付はするんですけど。いろんな方に興味を持ってもらいたい」などと、富沢たけしさんと掛け合いながら熱く語った。伊達さんは大條家の子孫で、茶室の存在は父親からずっと聞かされていたという。

 番組放送以降、寄付額は一気に約200万円もアップし、今月4日時点で計約430万円。「サンド効果」で増額傾向はなお続く。

 橋元伸一町長は「サンドウィッチマンの発信力はすごい。応援してくれて驚いたがとてもありがたい」と感謝し「期間終了まで引き続き、あらゆる機会に寄付への協力をお願いしていく」と話す。

[大條家茶室 此君亭] 木造平屋約45平方メートルの書院風茶室。江戸時代後期の建物で、1832年に大條家15代当主の道直が仙台藩主伊達斉邦から与えられ、仙台城下の屋敷内に移された。1932年に現在地へ移築。所有者が2002年、町に寄付し、町指定文化財となった。

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