サンマ水揚げ 今季最高も漁場は公海 水揚げ戻るか見通せず

今年のサンマ漁が記録的な不漁に見舞われる中、全国の港で2日、1000トンに迫る今季最高の水揚げがあった。漁場は1200キロ以上離れていた1カ月前より近くなったものの、いまだに650~870キロの公海。水産庁は9月下旬には漁獲量が回復するとの見方を示していたが、魚群は薄く、順調に水揚げが戻るかどうかは見通せない。

【サンマ漁獲量の推移】

 漁場に最も近く、サンマの水揚げで9年連続日本一の花咲港(北海道根室市)には同日、34隻(大型船22隻、小型船12隻)で約784トン(速報値)が水揚げされた。この日は三陸でも計159トン(大船渡港119トン、気仙沼港27トン、宮古港13トン=いずれも速報値)が水揚げされ、花咲港と合わせた総計は943トンと今季最高の水揚げとなった。記録的不漁を反映し、花咲港で行われた午前7時の競り値は、高値で1キロ529円だった。

 いつもの年であれば、花咲港だけで連日1000トン前後が水揚げされる時期だが、同日現在の水揚げはトータルで5163トン(根室市まとめ)にとどまる。前年同期(2万3983トン)の2割強、史上2番目の不漁だった一昨年同期(1万4699トン)と比べても、3分の1強しかない。

 漁業関係者によると、以前は沿岸海域に豊富な漁場があって「日帰り」できたが、近年はロシアが主張する排他的経済水域(EEZ)の外側にある公海まで遠征する必要がある。「漁場まで片道で2昼夜かかる。魚群はかなり薄く、3~4日操業しても多い船で20トン、少ない船は数トンにとどまる」とため息をつく。

 魚群は例年であれば、10月中旬には三陸まで南下する。水産加工業者の一人は「道東沖に魚群が形成されないまま、南下してしまうのではないか」と危機感を募らせた。【本間浩昭】

タイトルとURLをコピーしました