大崎市のNPO法人シナイモツゴ郷(さと)の会(二宮景喜理事長)は21日、同市鹿島台のため池で、外来生物のアメリカザリガニを大量に捕獲できる新装置を報道機関に披露した。二つの籠をつなげて水底に置き、ザリガニが暗い場所に移る習性を利用して一度に80~200匹取れるという。特許を申請中で、生態系の再生に役立つと期待される。
餌のドッグフードを入れて小穴を開けたプラスチック容器を円筒状の籠(直径30センチ、長さ50センチ)に仕込み、ザリガニを誘い込む。餌を食べさせた後、黒い網をかぶせて連結した奥の籠(直径40センチ、長さ70センチ)に移動させて捕まえる。
ため池では、1週間前に設置した装置を会員6人が引き揚げ、約150匹のザリガニを確認した。餌入りの籠を単独で設置する従来型の装置に比べ、捕獲数は5倍以上になるという。
高橋清孝副理事長(67)は「危険を察知すると暗い方へ移る習性を使い、餌のある籠に滞留させないのがポイント。釣り具屋で手に入る籠で製作し、コストも安い」と話した。
会は2001年、希少な淡水魚を守るため結成。約100人の会員が外来魚の駆除や子ども向けの環境教育に取り組む。
今年7月、北海道・洞爺湖で地元の団体と協力して新装置の実証実験をした。ワカサギなどの成育を阻害する大型のウチダザリガニを大量に駆除できたという。
同会などの自然保護団体は10月26日、東京都内で水辺の自然再生共同シンポジウムを開き、新装置の活用策などを話し合う予定。