東京・浅草にある映画館5館が今年10月までに閉館することが明らかになった。浅草六区と呼ばれる同地域は明治時代に日本初の常設映画館ができた、いわば映画館発祥地だが、今回の閉館により同地域に映画館がなくなってしまうことになる。
浅草を舞台にした映画『えんこえれじー 浅草哀歌』場面写真
現在まで営業を続けているのは、いずれも松竹の完全子会社である中映が運営する5館。成人映画を上映する「浅草シネマ」「浅草世界館」はそれぞれ9月17日と同25日に、邦画3本立ての「浅草名画座」「浅草新劇場」、そして洋画2本立ての「浅草中映劇場」は10月21日に閉館する。
中映の担当者によると、建物の老朽化が閉館の最大の理由とのこと。「浅草新劇場」「浅草世界館」「浅草シネマ」の入っている浅草新劇会館は昭和2年に建てられ、今年築85年。「浅草名画座」「浅草中映劇場」の入っている浅草中劇会館は昭和8年に建てられ、今年築79年となっている。取り壊した後のことについてはまだ決まっていない。
昭和20年代から30年代にかけては30館以上の映画館があったともいわれている浅草。その浅草から映画館の灯が消える日が来るとは誰も思っていなかったはず。映画ファンに愛されている地域ということもあり、中映では閉館に際して企画上映などを行うことも検討しているという。(編集部・福田麗)