シンディ・ローパーさん寄贈、石巻市立病院の被災ピアノは横領品?楽器店社長を書類送検

東日本大震災後に預かった被災ピアノを無断で修理し、米国の歌手シンディ・ローパーさんからの寄贈品として石巻市立病院に引き渡したとして、石巻署が業務上横領の疑いで、宮城県石巻市の楽器店の男性社長(89)を書類送検したことが22日、関係者への取材で分かった。送検は18日。宮古市を拠点に活動する団体の代表(51)が2017年5月に告訴していた。

 告訴状などによると、団体は岩手、宮城両県で、被災した学校のピアノを震災資料として保存する活動などを展開。13年4月に石巻市雄勝中の被災校舎が解体される際、楽器店の協力を得てピアノを搬出し、同店に保管を依頼した。
 代表が16年3月に引き取りのため楽器店に連絡すると、社長は引き渡しを拒否。同年10月の話し合いでは「壊した」と説明した。その後、代表が調べると、市立病院に寄贈されたピアノと雄勝中の被災ピアノの製造番号が一致した。
 社長は22日、河北新報社の取材に、雄勝中の被災ピアノを修復して寄贈したことを認め、「本来は廃棄処分になった物で所有権は誰にもない。所有権を主張するなら、ピアノの搬出や運送、保管にコストをかけたうちにある」と主張した。
 代表は「ピアノは教育委員会などとやりとりして引き取った。修繕され、資料的な価値はなくなった。自分の知らないところで悪用されていたことは遺憾だ」と話す。
 ローパーさんは12年3月に復興支援の一環で楽器店に来店。店頭で再生された被災ピアノを見て、市への寄贈を申し入れた。修復するピアノは楽器店が選び、16年8月の開院記念式典で初披露された。

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