“ジャニーイズム”払拭へ? 菊池風磨と猪狩蒼弥の発言に見るジャニーズ事務所の方向転換と内部の混乱

 先週、Sexy Zoneの菊池風磨による「お前らの言う世界って結局アメリカじゃねーか」という発言が、ジャニーズファンの間で波紋を呼んだ。

 問題の発言があったのは、嵐・二宮和也、KAT-TUN・中丸雄一、Hey! Say! JUMP・山田涼介らと共にやっているYouTubeチャンネル『ジャニのちゃんねる』で5日に公開された#224の動画。「中丸を次の仕事場に送ろう」という趣旨で菊池の運転のもと4人が移動する車内でトークをする企画だ。

 中丸や二宮が個人SNSアカウントを持ったという話題の流れから、菊池が中国のSNSであるWeibo(微博)をやりたいと発言。個人として中国では絶対に自分の存在が知られていないからこそ挑戦してみたいと理由を説明した後、菊池は「アジアにリーチしたいじゃないですか」とアジア市場の重要性を力説し始めた。「世界、世界って言うけど、お前らの言う世界って結局アメリカじゃねーかって最近思うんですよ」「どのアーティストも、どのバンドも、『世界に向けて俺らやっていきたいんだよ』みたいな(ことを言う)」などと指摘し、「でも世界なんだったら本当にねアジワ……日本を基盤に、アジアを基盤にってこう」と語ったところで、二宮に「アジワになっちゃってる」と言い間違いをイジられ、この話題は終了した。

 二宮からは「バンドももう、敵にしてるな」と、ツッコミという形で菊池の発言の危うさをフォローするようなひと幕も。また、「アジワ」の言い間違いの際には「動揺してる。もういるんだ、頭の中に?」と具体的に特定のアーティストについて話しているのではと詰められると、菊池は「いないって」と笑い飛ばしていたが……。

「一部のKing & Princeファンがこの菊池の発言に反応。King & Princeの分裂騒動の背景に“デビューからの夢であった海外進出をさせてもらえないこと”があったとみられているため、『どうしたってキンプリを想像してしまう発言』『時期が時期だけにキンプリのこと触れてるような感じもしなくもない』といった声が出ることに。一方、昨年アメリカのレーベルから世界デビューしたTravis Japanのことを言われているのではと、彼らのファンも不快に感じた人が少なくない様子。Travis Japanには『夢のHollywood』という全米進出への憧れを歌った曲までありますからね。中国市場の大きさなどを考えても、菊池の発言は正論ではあるのですが、“お前ら”といった言い方にトゲが感じられないといったら嘘になりますし、後輩にTravis Japanのようなグループがいることを考えると、もう少し誤解を招かないような表現が求められたのは間違いないでしょう」(アイドル誌記者)

 一部グループのファンをモヤモヤさせてしまったようだが、一方で、この菊池の発言には今年に入ってからのジャニーズ事務所の“方針”が反映されているのではとの指摘もある。

「もともとジャニーズは中韓で一定の人気がありますし、独自路線を歩んできたおかげでK-POPとの差別化もされている。加えて最近は、なにわ男子・道枝駿佑の主演映画『今夜、世界からこの恋が消えても』が韓国で日本の実写映画として歴代2位となる100万人動員の大ヒットとなったというビッグニュースもありましたし、その道枝は、Weiboにファンによる非公式のコミュニティがつくられるなど中国でも注目されています。ジャニーズ事務所としてはアメリカ進出よりもアジア市場を狙ったほうが確実。日本と韓国の融和ムードもありますし、ジャニーズタレントが“友好大使”のような役割を担うなら、付き合いの長い与党からのバックアップも期待できるでしょうしね。菊池の発言はそうした事務所上層部の思惑の影響を受けて出てきたものでは。ジャニーズ成人式復活を提言し実現させるなど、最近“上”とも懇意のようですから」(女性誌記者)

 この事務所の“方針”は、ジャニー喜多川前社長の性加害疑惑の問題も大きく影響を受けているとの見方もある

「現社長の藤島ジュリーK氏は、叔父が遺した負の遺産と一連の報道に頭を抱えているようで、ここ最近の動きは“ジャニーイズム”の払拭にあるのではないかと考えられますね。

 ジャニー氏の性加害疑惑を追及したBBCドキュメンタリーで最後に紹介された事務所コメントも、そして元ジャニーズJr.の岡本カウアンが日本外国特派員協会で行った記者会見についての共同通信の取材に対して事務所が出したコメントも、どちらとも“経営陣が変わり、透明性のある新体制の構築、コンプライアンスの遵守、ガバナンス体制の強化に取り組んでいるところです”といった内容の回答で、今年1月1日に出した事務所声明と同じ。BBCの取材は昨夏だったようですから、その時点でこの文言で逃げ切ろうと決めていたのでしょうし、だからこそ日経新聞に企業広告を出すという異例の展開をしたのでしょう。

 そしてその新体制づくりの中で、“ジャニーイズム”を強く継承している錦織一清や滝沢秀明氏らは居場所をなくしていったということでは。またアメリカは、ジャニー氏を始め、彼の教育を受けたタレントたちがこぞって目指してきた象徴的な場所であり、菊池のアメリカ=世界ではないという発言からは、従来のジャニーズ的価値観からの脱却がうかがえます。欧米は未成年への性加害に非常に厳しく、日本のように逃げて回るのは難しいですから、“欧米ではなくアジア”という志向に事務所が方向転換したとしてもおかしくありません。Travis Japanは米大手レーベルからデビューしたにもかかわらず、すっかり日本国内での活動に軸を置き、海外プロモーションは皆無に近い状態ですが、この舵取りに巻き込まれたかもしれませんね。性加害疑惑の重大性を考えれば、事務所が今のように説明責任を果たさないままだと米レーベルとは最悪、契約打ち切りになる可能性もあります」(芸能記者)

 実際、事務所内ではすでに混乱も起こっているようだ。

「ジャニーズJr.の人気ユニットであるHiHi Jetsから、猪狩蒼弥と作間龍斗が今月3日に放送された『川島明の芸能界(秘)通信簿』3時間スペシャル(フジテレビ系)に出演したのですが、猪狩のぶっちゃけ発言からは、ジャニーズJr.たちの混乱がうかがえました。猪狩はいきなり『いろいろ……あったじゃないですか? ジャニーズ事務所』などと切り込み、『僕ら社長3代も経験してるんですけど。何したらデビューできるの?みたいな』と、体制変更が続く中でどうすればデビューできるかわからないとの悩みを告白。『前はジャニーさんがデビューって言ったらデビューだったんですよ。でもそうじゃなくなって、誰かが(ひとりで決定権を持っている)ということではなくなった。兼ね合いというか、バランスというか』『今度ライブやります、こんな大きいところでやらせてもらいます……けど、それとデビュー(するかどうか)はまた別』と語っていました。先日から“22歳定年制”が導入されましたが、3月末で退所した中には、定年制に関係のない10代の退所者も目立ちました。ジャニーズJr.に対する新たな指針がまだ確立されておらず、先行き不透明な部分が大きかったからではないでしょうか。無論、カウアンらからの告発内容を考えれば、『ジャニーさんがデビューって言ったらデビュー』という状態は明らかに問題があったわけですが……」(前出・女性誌記者)

 今年1月に入ってから、菊池が退所者の名前をラジオで連呼したり、所属タレントが滝沢氏にエールを送ったりテレビで話す場面が増え、また退所者の映像をテレビで見られる機会も出てくるなど、明らかにこれまでの“締め付け”を緩めているように見えるジャニーズ事務所。一方、岡本カウアンの記者会見については、NHKが13日の夕方のニュースで2分にも満たない取り上げた方をしたのみで、民放各局は引き続きだんまりを決め込んでおり、ジャニーズ事務所がジャニー氏の疑惑について変わらずテレビメディアに睨みをきかせていることがうかがえるが、その裏で新体制構築を急いでいるのだろうか。

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