ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題について、藤島ジュリー景子社長が14日夜、初めて公に謝罪の意思を明らかにした。ただ、動画と文書を公表する形で、記者会見はなし。「対応があまりにも遅すぎる」「100点満点で35点」。ジャニーズ側の対応に、企業のリスク管理の専門家からは厳しい声が相次いだ。 【写真】立憲民主党のヒアリングに出席したカウアン・オカモトさん(右)と橋田康さん 藤島社長は14日夜に公開した1分余りの動画で、関係者やファンに繰り返し謝罪。問題を巡る見解はメディアなどからの質問に答える形で文書で示した。 「長時間対応するのは難しかったかもしれないが、謝罪の気持ちは記者会見で届けるべきだった」。リスクコンサルティング企業「エルテス」(東京都)の猪股裕貴・ソリューション本部副本部長は批判する。 「謝罪の作法」などの著書がある人事・経営コンサルタントで東北大特任教授の増沢隆太氏も「質問を受けつけずに文書でコメントをまとめるという形は、業界での地位があるからこそできるやり方。ある意味では、ジャニーズ事務所にしかできない(謝罪の)やり方だった」と指摘。 さらに「ジャニーズ事務所としては『謝罪した』という事実を残すことが目的だったのでは」とし、「(謝罪は)今回が最後というふうにも見えた」と話した。 コンサルタントとして企業の広報戦略などに携わってきた桜美林大学の西山守准教授(広告論)も「これまで何も対応してこなかったジャニーズ事務所が一歩踏み出して謝罪したことを踏まえても35点しかつけられない」と厳しい評価だ。事案の重さを考えれば、今後信頼を回復するには経営陣の辞任や、加害者であるジャニー氏の名前を冠した企業名を変えることも含めて検討する必要があるとした。 社会構想大学院大の白井邦芳教授(リスク管理)は、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが被害を告発してから半年が経過していることを重視し「あまりにも遅すぎた対応という感じが否めない」。今後は被害者の人権やプライバシーを保護した上で、第三者委員会を設け、事実関係を明らかにすることが重要になると強調。「心理カウンセラーなどもサポートしながら被害者の心の重荷を少しでも取り除けるような配慮もしなければならない」と語った。(本江希望、織田淳嗣、浅野英介)