ジャニーズ批判で事務所クビ、山下達郎氏に飛び火のワケ

 音楽プロデューサーの松尾潔氏が2023年7月1日、およそ15年間在籍した芸能プロダクションとのマネジメント契約が中途解約されたとツイッターに投稿した。「メディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由」と説明している。
 

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 松尾氏はツイッターでたびたび「ジャニーズ性加害問題」について投稿。さらに、レギュラーゲストとして毎週月曜朝に出演するRKBラジオ「田畑竜介Grooooow Up」でも、今年5月と6月に計3回まとまった発言をしている。
 

東山氏を痛烈批判「キャスターごっこはやめたらどうか」

 ジャニーズ事務所は5月14日夜、公式サイトに謝罪文書を掲載。あわせて藤島ジュリー景子社長が1分ほどの動画で謝罪のコメントを述べた。これをうけて松尾氏はツイッターに「まずは記者会見を」「これを機に膿を出しきりませんか」と投稿した。
 

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 翌15日朝の放送では、このツイートに大きな反応があったことを紹介。ジュリー社長が顔を出して謝罪したことは評価しつつ、「記者会見はしない」「経営陣の引責辞任を否定」など4つのNOについて「これで納得する人がいるでしょうか?」と批判している。
 
 5月22日の放送でも同様の趣旨を繰り返し、さらにテレビ朝日の報道番組「サンデーLIVE」でコメントした東山紀之氏が「後輩たちには極力待ってもらいました」と発言した部分を取り上げて、報道の自由を侵害していると厳しく批判した。
 
 「『とんでもないこと今やってるんだよ。分かってるの?』という疑問を抱かざるを得なかったですね。いっそのこと、これを機に“キャスターごっこ”はみんな辞めたらどうかと思います」(radiko newsによる書き起こしより)
 
 6月20日には、12日の「再発防止特別チーム」の記者会見に触れ、「なぜ社長が同席しないのでしょうか?」と批判。17日のTBSテレビ「報道特集」で元AERA編集長の浜田敬子氏が「問題とか事件というよりも、ゴシップ的に見ていた」などと反省したことを紹介しつつ、「やっぱり、改めて膿を出しましょうよ」と繰り返している。
 

事務所社長はジャニーズ・エンタテイメント元社長の息子

 松尾氏が契約を中途解約されたのは、スマイルカンパニー(https://www.smile-co.jp)。ザ・ビーチ・ボーイズの伝説の未発表アルバム「SMILE」から名前を採っており、山下達郎氏のマネジメントを目的に設立された芸能プロダクションだ。
 
 現在は山下氏のほか、竹内まりや氏や、マンガ家・文筆家のヤマザキマリ氏、放送作家の鈴木おさむ氏なども所属しており、過去には加藤和彦氏や故・坂本龍一氏、大貫妙子氏なども籍を置いていたこともあるという。
 
 山下氏といえば近年、70年代シティポップの代表的ミュージシャンとして再評価著しいが、作曲家として関わった1997年発売のKinKi Kids「硝子の少年」が180万枚の大ヒットとなるなど、ジャニーズとの関わりは強い。
 
 実は契約を解消した現社長の小杉周水氏もジャニーズと縁が深く、修二と彰(亀梨和也と山下智久のユニット)の「青春アミーゴ」に作曲家として関わりミリオンセラーを生み出している。
 
 そもそも前社長の小杉理宇造氏は周水氏の父親で、ジャニーズ・エンタテイメント(2019年事業終了)の代表取締役を務めていたこともある人物。70年代からジャニー喜多川氏と知り合いで、近藤真彦の担当ディレクターを務めていた時期もある。1982年の「ハイティーン・ブギ」は、山下達郎氏の作曲だ。
 

松尾氏「山下さんも会社方針に賛成、残念」

 松尾氏自身もジャニーズWESTのプロデュースを手掛けていたこともあり、所属先と関わり合いが非常に強いジャニーズ事務所に対し「記者会見をしろ」「膿を出し切れ」と批判を展開することは、契約解消へと至ることも時間の問題だったといえるのかもしれない。
 
 その一方で、ワンマン創業者のおかげで大きくなったものの、変なルールが残っている会社が日本にまだ多く残っていることを指摘し「この国全体で膿を出していくというフェーズに入っている」と批判する松尾氏の問題意識に共感する人も少なくない。
 
 中途解約を明かしたツイートは、投稿から丸1日で2万超のリツイート、7万超のいいね、3,000件を超える引用リツイートがあり、「松尾さんを支持します」「松尾さんが気の毒すぎる」と擁護する反応も多い。
 
 また、松尾氏が「私をスマイルに誘ってくださった山下達郎氏も会社方針に賛成とのこと、残念です」と書いたことを受けて、批判が山下氏にも一部飛び火し、「山下達郎」がトレンド入りしている。

 なお山下氏は、60年代にあおい輝彦氏ら4人で結成された初代ジャニーズのファンとしても知られ、2020年7月5日放送のTOKYO FM「山下達郎のサンデー・ソングブック」では、ジャニー喜多川氏の一周忌を記念して「初代ジャニーズの洋楽アプローチとアメリカ進出計画」という特集を組んだこともある。

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