ジャニー喜多川氏「性加害問題」で新証言 服部吉次さんと友人が明かした壮絶被害と恐怖の記憶

ケつ穴ジャニーズ

ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)による性加害問題で新証言だ。

「東京ブギウギ」「青い山脈」など昭和歌謡の大ヒットメーカーで国民栄誉賞を受賞した作曲家の故・服部良一氏の次男で俳優の服部吉次さん(78)と、服部さんの同級生で友人の松﨑基泰さん(79)が15日、都内で記者会見を行った。

 服部さんは、日刊ゲンダイ(7月5日6日付紙面)でも証言した通り、約70年前の小学2年生の時からおよそ2年半の間に受けたジャニー氏による性被害の苦々しい記憶について、各社の記者を前にあらためて証言した。

■「全部で100回くらいあったと思う」

「全部で100回くらいあったと思う。オーラルセックスされて快感を覚えてしまう嫌悪感とアナルセックスを強要される恐怖感に悩まされ、その後、悪夢を見るようになった」(服部さん)

 服部さんが日刊ゲンダイに“軽井沢乱行事件”の被害者のひとりの「M君」として語った松﨑さんも、今回の会見に出席し、ジャニー氏からの性被害について新たに語った。松﨑さんは服部さんと小学校1年当時から友達となり、当時、新宿区若松町にあった服部さんの自宅に遊びに行くようになったという。ある日、服部さんの家族と一緒に、当時は珍しかったテレビでプロレスの「シャープ兄弟」を夢中で見ていたところ、松﨑さんの顔をじーっと見つめるジャニー氏の不自然な視線を感じたのがジャニー氏との初対面の記憶。ジャニー氏は当時から服部家に出入りしていた。

 小学2年生になると、月に2、3回は服部家に泊まりにいくようになった松﨑さんは、遅くなるとジャニー氏に「車で送ってあげるよ」と言われ、世田谷区内の自宅まで送ってもらうようになった。帰りは決まってジャニー氏が住んでいた代々木のワシントンハイツに寄り、チョコレートやガムなどのお菓子をくれて、映画や演劇にも連れていってもらうようになったという。

「恐怖と困惑で誰にも言えなかった」

 しかし、やがて劇場の暗がりの中でセーターの中に手を入れて体をいじられたりするようになる。7歳の松﨑さんは、訳がわからないまま、されるがままだったという。さらに暗がりに止めた帰りの車中で、服部さんと同じようにオーラルセックスをされた。松﨑さんは、恐怖と困惑で母親をはじめ、家族の誰にも言えない日々が長く続いたという。

 そして“軽井沢乱行事件”が起こる。ジャニー氏が「軽井沢にスケートに行こう」と言い出し、「ジャニーズ少年野球団」のメンバー3人、松﨑さんを含む服部さんたち3人、そしてジャニー氏の合計7人が、車で服部氏の軽井沢の別荘に向かった。昼間はスケートや食事を普通に楽しんでいたが、夜、寝ていると松﨑さんの布団にジャニー氏が忍び込んできて襲われたという。

■「ジャニー、何やってんの!」

「すんでのところで私は泣き出し、別のコテージに泊まっていたおねえさんが異変に気が付き、電気をつけ、『ジャニー、何やってんの!』と怒って、未遂に終わったのです。私は何でこんなことをするんだろうという恐怖に震えていました。(下半身を露出した)ジャニーがズボンをあげていた様子も今でも鮮明に覚えてます。しかし誰にも言えずに、ずっと思い悩んでいました。服部に話したのは高校の頃だったと思います」(松﨑さん)

 服部さんは、その晩のことを「一晩で5人の間を渡り歩くなんて彼にしてみれば夢の饗宴だったでしょう。大人はいないし、やりたい放題」と日刊ゲンダイに語ったが、その後も、ジャニー氏から松﨑さんへの性加害は計40~50回も続いたという。当時、ジャニー氏にもらった名刺も最近まで持っていたそうだが、今回、探しても見当たらなかったという。

 松﨑さんはアメリカに渡り、40年近くIT関係の仕事をしていたが、週刊文春とジャニー氏の裁判のニュースなどを見るにつけ、「嫌な記憶が蘇ってきたが、仕事が忙しかったこともあり、表沙汰にしようという考えには至らなかった。ジャニーはずっと同じことを繰り返しているのだなと考えていたが、今回、服部に声をかけられて出る決心をした。ジャニーのしたことは許されることではない」と話した。

 会見には、服部吉次さんの次男も同席し、服部さんの告白を見守った。今回、次男は少年時代に別の男性から性被害にあっていたこと、服部さんの父の良一氏の葬儀(93年)の際、ジャニー氏が次男を狙っていることを吉次さんの妻である石井くに子さんが察し、ジャニー氏の魔の手から守ったことも石井さんの口から明かされた。こうした事実が、服部さんに告発を決意させたという。

山下達郎発言は「才能があれば何をしてもいいというのはおかしい」

 会見の場ではシンガー・ソングライターの山下達郎(70)のラジオでの発言についての言及もあった。山下は服部さんの実兄である音楽家の服部克久さん(20年死去)を“数少ない先生とお呼びする方”と公言し、ストリングスアレンジなど編曲の提供も受けるなど服部家とは縁が深い人物である。

 山下は今月9日、「サンデー・ソングブック」(TOKYO FM系)で音楽プロデューサーの松尾潔氏が自身の所属事務所「スマイルカンパニー」との契約が途中解除になった理由について「(松尾氏はジャニー氏の性加害などに対して)臆測に基づく一方的な批判をした」と発言。「ジャニーさんへの功績に対する尊敬の念は今も変わっていません」「ジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと社会的倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題」などとジャニー氏を擁護する発言を繰り返した。

 さらに、「私の姿勢を、忖度あるいは長いものに巻かれていると解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と語ったことについて聞かれると、服部さんはこう答えた。

「山下達郎のことは僕も好きでしたが、一連の発言は自分でそう思い込もうとしているんじゃないかと思うくらい、普通に考えたらありえないし、おかしい。罪は罪、人は人というような、才能があれば何をしてもいいというのはおかしい。アングラの世界だったらボコボコですよ。そんなことは通用しない。芸能界でも硬派だった彼がやすやすとああいう発言ができるのかという感想を持ちました。それくらい甘いですよ。はっきり言っておかしいと思う」

 一方の松﨑さんはこう言った。

「彼は素晴らしい曲を作るし、海外でも評価されている。その彼がああいう発言をした。彼は、ある意味で公人であり、常識を持った人間ならあそこまでの発言はするべきではないと思う」

 ジャニー喜多川氏による性被害の当事者本人から山下に向けられた言葉は重い。さらに、この問題に関してのジャニーズ事務所の対応について2人はこう話した。

■ジャニーズ事務所の対応は言語道断

「言語道断だと思う。告発している人たちの動きには賛同している。こちらから声のかけようもないのだが、機会があれば話をしたい。またジャニーズ事務所とも話をしたい」(服部さん)

「ジャニー喜多川の問題にかかわらず、日本人はハラスメントの問題などにもっと真摯に向き合わないといけないのではないか」(松﨑さん)

 ジャニーズ事務所設立前から行われていたジャニー喜多川氏による性加害犯罪。2人の勇気ある証言は、問題の根深さを物語ると同時に、ジャニーズ事務所の存在理由そのものも突きつけられている。

タイトルとURLをコピーしました