ジャニー喜多川氏性加害問題 元ジュニア被害者・橋田康氏(37)が日本外国特派員協会で記者会見「ジャニーズ事務所には被害者たちへの謝罪と対応を求めたい」

ジャニーズ・デビュー組から初の性被害告白 元「忍者」志賀泰伸氏(54)が「30回から40回くらいは性的虐待があった」 から続く 【写真】記者会見に臨んだ元ジュニア被害者・橋田康氏(37)  ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、5月26日、元ジャニーズJr.で被害者の橋田康氏(37)が日本外国特派員協会で記者会見を行った。集まった報道陣に向かって「たくさんの人に一緒に考えてもらいたいです」などと訴えた。  橋田氏がジャニーズ事務所入りしたのは1998年、中学1年生の時だった。後にKAT-TUNやNEWSになるメンバーらと一緒にジュニアとして活動。KinKi KidsやV6のバックダンサーを務めたこともある。19歳になるまで約7年にわたって所属していた。  性被害に遭ったのは、活動を開始して1年ほど経った頃。場所は、公演で訪れたホテルだった。深夜、部屋で眠りについていると、ジャニー氏が布団に入ってきた。マッサージが始まり、そのまま被害を受けた。行為が終わった後、シャワーを浴びていると、涙が流れてきたという。翌朝、ジャニー氏に1万円を渡された。「自分の価値は1万円なんだ」と感じたと振り返る。  橋田氏は会見で、自身が受けた被害と経緯を明かした。そして、「私がいま実名・顔出しで話すことで、今後、芸能活動をしていく上で“性加害に遭った人”だと思われてしまうリスクがあることは承知しています」と語り、こう訴えた。 「こうやって皆さんの前でお話をしているのは、ひとえに、お世話になったジャニーズ事務所のこの問題が早く終結し、新しいスタートを切ってもらいたいから。そして、日本の芸能界、エンターテイメントが良い場になることを願ってのことです」

橋田氏「性的虐待に関しては、親以外からの方が多いのでは」

 今回、会見を通して橋田氏が明かしたのは、“2つのビジョン”だった。

 一つが「児童虐待防止法の改正」だ。現在の児童虐待防止法では、「保護者」による18歳未満の児童に行う暴行・わいせつ行為などを「児童虐待」と定義しているが、「保護者」は親権を持つ親に限定されている。橋田氏は、この状態では「子どもたちを守るのには十分ではない」と言う。 「私の個人的な印象かもしれませんが、性的虐待に関しては、親以外からの方が多いのではと感じています。今、提案されている案では、その対象が第三者に広がります。例えば部活動や塾など子どもたちを育てる場での地位に基づく影響力を持っている人物も対象になります。エンターテイメントの世界でも、芸能事務所の幹部らも対象になるという議論がなされています」(橋田氏)  その上で、こう提案するのだった。 「法改正議論のもう1つのポイントは、経済的、社会的地位に基づく影響力のある、第三者による性暴力やわいせつ行為が行われている場面を見聞きした場合、その見聞きした人による警察への通報が、法的に義務化されるということです。  例えば芸能事務所で児童に対する性的虐待が行われていた場合、社員やマネージャーなど、近くにいる大人が通告することが義務化されるのです。見て見ぬふりを止めることが、さらなる被害の抑止に繋がると思っています。さらには、加害者のブレーキにもなって、新たな加害者を生まないことにも繋がると思います」(同前)

元ジュニア被害者の声を集めて、ジャニーズへ届ける

 二つ目のビジョンが「ジャニーズ事務所との懸け橋になること」。

「現在ジャニーズ事務所はこの件に関して、相談窓口を設置すると説明しています。しかし『直接、ジャニーズ事務所には相談をしにくい』という声も聞こえて来ています。この性加害問題を放置して、曖昧なままにしておいてはなりません。  そこで私が同じ被害に遭った人間として、元ジュニアのみなさんからのお話を聞き、彼らの声を集め、ジャニーズ事務所との懸け橋になれればと思っています。  私がその声をまとめて、ジャニーズ事務所に届けたいと思います。そして、ジャニーズ事務所には実際にあったことを事実と認め、被害者たちへの謝罪と対応を求めたいです。そしても早く、クリーンなジャニーズ事務所として生まれ変わって欲しいと思っています。ジュリー社長、僕たちの思いと向き合ってください」  その後、質疑応答。出席した記者から多くの質問が出た。 ――元Jr.のメンバーの方々の発言が相次いでいるが、#MeToo運動を思い出す。大人の女性も性被害を受けた方々と橋田さんとはどこが同じか。橋田さんは、ジャニーズの事務所だけではなく、芸能界全体の変革を目指すのか。 「確かに少し特殊な経験だと自分でも思っております。ジャニーズ事務所での活動の中でそういうことがあったわけで、そこを我慢して耐えれば大きな仕事につながるのではという想像も少なからずあったと思います。人前に立つのは生半可な努力ではないと思います。性被害ということに関しては、しなくてもいい苦しみと言いますか、そう思っています。こういうことが無くなれば、エンターテイメントの世界で人前に立つことの苦しみがなくなるのではないかと思います」 ――5月14日のジュリー社長の謝罪ビデオを橋田さんはどう見たか。本人(ジュリー社長)は「知らなかった」「事実関係を調べることが非常に困難である」と話されています。また、どういう形が終結になると橋田さんは思っているか。 「事実か事実じゃないかどうかを(言い切ることは)容易ではないと動画のコメントでしたが、確かに簡単なことではないと思います。ジュリー社長の一言で人生が変わってしまう人もいるので、でもこれだけ多くの人が声を挙げて、多くの人が向き合っている問題。長引かせれば長引かせるほど、今中で頑張っている人たちにも影響してしまうのかなと。僕も含めて、応援している人たちの迷う、悩む時間が増えてしまうのかなと。今も事務所で頑張っている方を苦しめていることもわかっています。僕の知っている中では、今のジャニーズ事務所には性加害をする人はいないと思っています。早くきれいな事務所として出発して欲しいと思います。そのために僕にできることがあれば、協力したいと思っています」  橋田氏は丁寧に言葉を選びながら答えていた。  現在、配信中の「 週刊文春 電子版 」では、すべての発端となった1999年のキャンペーン報道の記事アーカイブをはじめ、英BBCの報道以降に告白したカウアン・オカモト氏や二本樹顕理氏など12人の元ジュニアたちの証言を報じた記事、そして“デビュー組”として初めて被害を明かした「忍者」の元メンバー・志賀泰伸氏の告白を報じた最新号の記事を掲載している。

「週刊文春」編集部/週刊文春

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