「iPhone(アイフォーン)」など数々のヒット商品を手掛け、5日に死去した米アップルのスティーブ・ジョブズ前CEO(享年56歳)の一生が、映画化される方向となったことが11日、明らかになった。米各メディアが報じている。原作は、24日に世界同時発売される評伝。死してなお、カリスマは話題を提供し続けている。
成功、挫折、追放、復活、再びの成功、そして病―。ジョブズ氏の波乱万丈の人生がスクリーン上で見られることになりそうだ。
米各メディアによると、映画配給会社ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントが原作の版元に対して映画化権の獲得交渉を行い、約300万ドル(約2億4000万円)を提示したものとみられる。今月下旬の合意を目指しているもようだ。同社日本法人の担当者は「現時点で発表できることは何もありません」としたが、事実関係を否定しなかった。
ソニー・ピクチャーズは昨年、交流サイト「フェイスブック」の創業者マーク・ザッカーバーグの半生を描いた「ソーシャル・ネットワーク」を配給。同作はアカデミー賞3部門を受賞し、興行面でも大成功を収めただけに、同じIT界のカリスマだったジョブズ氏の映画が、世界的ヒットを飛ばす可能性も十分ありそうだ。ネット上では早くもジョブズ氏を誰が演じるかについての議論が始まっている。
映画の原作となるのは、14言語に翻訳されて、24日に世界同時発売される評伝「スティーブ・ジョブズ」。当初は11月21日に発売される予定だったが、ジョブズ氏の死去を受けて前倒しされた。ピュリツァー賞作家のウォルター・アイザックソン氏がジョブズ氏に40回以上のインタビューを重ねて著した最初で最後の評伝で、600ページを超える大作となっている。
国内では上巻を24日に、下巻を11月1日に発売。評伝としては異例の初版各10万部の発行が決まっており、ネット書店「アマゾン」では死去の直後から、予約分だけでベストセラーランキングの1、2位を快走している。
14日には、ジョブズ氏の遺作ともいうべき新型の「iPhone4S」が発売。国内の小売店では予約するための行列もできている。ジョブズ氏の影響力は命を終えた後も続いている。
◆膵臓がんで呼吸停止に 〇…死亡時には発表されなかったジョブズ氏の死因が、膵臓(すいぞう)がんに起因する呼吸停止だったことが新たに判明。地元当局が発行した証明書に記載されていた。同氏は04年にも同じ病気で手術を受けた後、闘病生活を送っていた。アップルは、社員向けのお別れ会を19日に開くことを決めた。