春の足音とともに東北でもスギ花粉の飛散が本格化しつつある。今季は各県で前年の2~4倍の飛散量が予測され、花粉症患者には耐え難い季節を迎えた。中国から微小粒子物質「PM2.5」が飛来する恐れもあり、各県は観測体制の強化など備えを急ぐ。
仙台市泉区泉中央の三好耳鼻咽喉科クリニックでは今月に入り、鼻詰まりや目のかゆみなど花粉症の症状を訴える患者が急増した。
「まだ少量だが、既に飛散している。花粉に過敏な人は症状が出てもおかしくない」と三好彰院長(62)。気象情報会社のウェザーニューズ(東京)は17日、宮城、福島両県で飛散開始を確認した。
環境省が発表した今シーズンの花粉飛散量(スギ、ヒノキの総数)の予測は表の通り。花粉の飛散量は前年夏の気象条件に大きく影響を受けるとされる。
東北は7~8月に日照時間が長かった上、気温も高く飛散量が増える条件がそろった。飛散が少なかった前年に比べ、ことしは岩手で4倍以上、福島でも3倍以上と予想されている。
東北の飛散量ピークは例年並みの4月上旬。環境省は「今季は花粉の全体量が多いため、ピークの10~20日前後もかなり飛散が多い」と注意を呼び掛ける。
花粉シーズンは黄砂の季節とも重なる。中国大陸の黄砂を日本へと運ぶ偏西風に乗り、大気汚染原のPM2.5まで飛来するのではないかと心配が広がる。
秋田県は大気中のPM2.5濃度について、ホームページで1日ごとの測定値を公開しており、3月からは1時間ごとの測定値をリアルタイムで提供する。
同県環境管理課は「PM2.5に関する県民の問い合わせは現時点では数件にとどまるが、黄砂の飛来などに伴って今後増える可能性がある」と話した。