スギ花粉2022年は多い予報

ずばり「昨年より多い」

 気象予報士三浦満さん(61)はずばり「例年よりやや少なく、昨年より多くなる」と予想する。

 三浦さんによると、仙台で予想される飛散量は1平方センチ当たり3000個前後。例年(2012~21年の平均値)の3800個の8割程度、昨年の1700個の約1・8倍となる。

 飛散量を左右するのは前年夏の気象だ。気温が高く、日照時間が多く、雨が少ないと、花粉を作る雄花の花芽が多くできる。花粉症患者にとって残念なことに、21年6~8月は平均気温、日照時間ともに平年を上回った。

例年と比べた花粉の飛ぶ量(以下、日本気象協会の1月20日発表)
前年と比べた花粉の飛ぶ量

飛散量は年ごとにばらつき

 飛散量は年によるばらつきが非常に大きい。17年7月は平均気温が平年より2・2度も高く、18年は9800個に達した。13年7月は日照時間が平年の半分しかなく、14年は1100個にとどまった。

 朗報もある。環境省が昨年12月に発表したスギ雄花の花芽調査で、宮城県は1平方メートル当たり1391個。昨年(1140個)より2割ほど多かったものの、例年(4718個)の約3割しか確認されなかった。

 調査を担ったNPO花粉情報協会(千葉県)理事で気象予報士の村山貢司さん(72)は、昨年7月上旬の仙台の日照時間が平年の17%(6・6時間)だったとして「花芽の成長が止まった」と解説する。山形県も同様の傾向だという。

 日本気象協会は今後の気温の推移なども加味し、予測を立てる。ただ、太白区向山4丁目にある東北支社屋上で観測しており、周囲の植生や風向きの影響を受ける点に留意が必要だ。大雪が降ると飛散量が極端に少なくなることもあり、予報は難しいという。

飛び始めは例年並み

 日本気象協会によると、仙台での花粉の飛び始めはほぼ例年並みの2月24日。1平方センチ当たり1個以上を2日連続して観測した場合の最初の日を指す。飛散開始と認められる前から、わずかながら飛び始める。

 ピークは3月上旬から下旬。三浦さんは「例年3月20日前後をヤマに急速に減る。桜(ソメイヨシノ)が開花すると花粉症が落ち着くというのは、あながち間違いではない」と話す。

スギ花粉飛び始め予想

顕微鏡で数え上げる

 東北支社は1988年から「ダーラム法」を用いて観測を続ける。ダーラム法は金属の円盤の間にワセリンを塗ったスライドガラスを置き、24時間でガラス上に落下した花粉を染色し、光学顕微鏡で数え上げる。多い日は1000個以上になることもあるという。

 河北新報社は2月中旬から5月上旬(予定)まで、東北支社が提供する「スギ花粉予報」を朝刊に毎日掲載する。環境省の基準に沿って「少ない」(1平方センチ当たり10個未満)「やや多い」(同10~29個)「多い」(同30~49個)「非常に多い」(同50個以上)の4段階で飛散量を示す。

ダーラム型花粉採集器を説明する三浦さん=2022年1月20日、仙台市太白区の日本気象協会東北支社

昼過ぎと夕方は要注意

 花粉は昼すぎと夕方に多く飛散する。外出時はマスクや眼鏡で花粉を防ぎ、服装は花粉が付着しやすいウール素材は避けると良い。帰宅後は手洗いや洗顔をし、家の中に花粉を持ちこまないようにしたい。

 新型コロナウイルス感染防止に通じる対策が多いが、換気だけは別。窓を全開にすると花粉が大量に室内に入り込んでしまう。窓を開ける幅を調節したり、カーテンなどをこまめに掃除したりと、工夫したい。

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