宮城県亘理町が東日本大震災で津波被害を受けた荒浜地区の鳥の海公園に新設したスケートボードパークが2日、本格開業した。現地で記念式典があり、山田周伸町長は「大会誘致を積極的に行い、町の知名度アップと交流人口拡大を図っていきたい」と強調した。
ワンテーブル問題で事業停滞 町が管理継承
パークは鉄筋コンクリート造りで滑走面積1008平方メートル。落差がさまざまな坂「バンク」や、ボードに乗ったまま滑り降りたり飛び越えたりする階段「ステア」など九つの障害物「セクション」を備える。町地域おこし協力隊のスケートボーダーが設計に携わった。
2021年に10年計画で始まった町の地域活性化事業「ワタリ・トリプルC・プロジェクト」の一環。企業版ふるさと納税の寄付9700万円を活用して整備され、昨年11月に完成した。
今年1月4日のプレオープン当初は、活性化事業の実施主体の備蓄食品製造ワンテーブル(宮城県多賀城市)が管理していた。事業全体の停滞を受け町は3月、同社との協定を解約。町は事業も打ち切り、町シルバー人材センターの協力を得ながら管理している。
料金無料で、利用時間は5~9月が午前10時~午後6時、10月~翌4月が午前10時~午後4時。雨天時は使えない。競技大会でパークを貸し切る場合は1時間3000円。
「13歳、真夏の大冒険」で知られる華麗な滑り披露
スケートボードパークの開業記念式典には、スケートボードの女子ストリートで東京五輪金メダルの西矢椛(もみじ)選手(15)が特別ゲストとして登場した。
西矢選手は、五輪競技中継で実況アナウンサーが「13歳、真夏の大冒険」と表現した華麗な滑りを披露。「いつも建物に囲まれた所で滑っているので、自然に囲まれて滑るのが気持ち良かった」と笑顔を見せた。
西矢選手や町地域おこし協力隊のスケートボーダーらと、県内外の子どもたちによる滑走体験会もあった。未就学児~中学生の40人が、一流選手らとの交流を楽しんだ。
1年ほど前に始めたという福島県相馬市中村一中1年管野梨杏さん(13)は「難しい技を軽々とこなす西矢選手の姿を間近で見られてうれしかった。またここに来て練習したい」と話した。