スシローが“首都侵攻作戦”を高らかに宣言 激化する東京の寿司戦争

大阪で創業し、郊外のロードサイドを中心に出店を繰り返すことで急成長したスシローが“首都侵攻作戦”に本腰を入れ始めた。

【画像】出店場所総選挙

 5月13日、回転寿司大手のスシローグローバルホールディングス(HD)執行役員の小河博嗣氏は「2019年下期事業戦略発表会」の場で、新たな出店戦略の概要を発表した。「都心進出強化」を掲げ、首都圏の主要路線沿線を中心とした出店を加速する。“先兵”となる実験店でノウハウを蓄積

 近年、スシローは郊外型店舗に加え、都心部への出店を着々と進めている。現在、山手線沿線には「BIGBOX高田馬場店」「南池袋店」「上野店」「五反田店」が存在するが、すべて実験店的な位置付けとなっている。

 例えば、高田馬場店はビルの9階にあり、エレベーターを使ってお店に行く「空中型」だ。南池袋店は「繁華街エリアの地下」、五反田店は「住宅地に近いエリア」、上野店は「多数の外国人観光客が訪れる観光地エリア」という特徴がある。これらの運営を通して、都市型回転寿司店のノウハウを蓄積し、一気に都心に店舗を増やそうとしている。

 記者発表会の場で、小河氏は2つの施策を打ち出した。

 1つ目は顧客参加型のSNSキャンペーン「#山手線にスシローつくろーぜ 出店場所総選挙」だ。これは、山手線のエリアで出店してほしいと思う駅を投票するもので、実施期間は5月13日~6月12日までとなっている。高田馬場、池袋、上野、五反田には出店済みなので、参加者はこれ以外の駅から選ぶことになる。ちなみに、建設中の高輪ゲートウェイ駅も対象となっている。

 2つ目は5月下旬から展開される予定の、都心の環状線を丸ごと回転寿司に見立てる交通広告キャンペーンだ。顧客にスシローの存在を知らしめるだけでなく、ビルなどを所有するオーナーに対して、スシローが都内の物件を募集していることをアピールする狙いがある。スシロー公式Webサイトの「店舗用地募集」には、都心モデルとして「70坪以上のビルインタイプ」が挙げられている。

寿司居酒屋の「杉玉」も好調

 回転寿司以外にもスシローが都内で増やしている店舗がある。それは、寿司居酒屋ともいうべき「杉玉」という業態だ。このお店は、スシローグループの仕入れ力や商品開発力を生かし、寿司だけでなく手ごろな価格のつまみや、日本酒などを提供するスタイルとなっている。

 実際に営業している都内の杉玉では、夜に居酒屋利用の客でにぎわっているだけでなく、休日の昼間には家族連れにも利用されている。子どもが寿司を食べる一方で、親がちょい飲みの場として利用しているのだ。スシローグローバルHDは杉玉の店舗数もさらに増やす予定だ。

 回転寿司チェーンの“王者”であるスシローが本格的に都心に進出することで、東京都内の寿司戦争が過熱していきそうだ。

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