スシローの悪質な「マグロ偽装」疑惑 DNA調査を行うと「喧伝されているのとは違うマグロが」

 回転ずし大手「スシロー」がピンチを迎えている。6月に消費者庁が景品表示法違反(おとり広告)で再発防止を求める措置命令を出した影響で客足が遠のき、業績予想を下方修正したのだ。そんな中、今度は看板メニューである「マグロ」の偽装疑惑が発覚した。

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【写真3枚】マグロ偽装に巻き込まれた形の大物MCたち

 スシローは昨年、キャンペーン中のウニやカニが品切れとなり、提供を取りやめていたのにテレビCMなどを継続。それが「おとり広告」にあたるとして消費者庁は6月9日、スシローに措置命令を出した。消費者への“裏切り行為”が満天下にさらされたわけだから客足が遠のくのは当たり前の流れだが、同社が猛省しているかは怪しいと言わざるを得ない。何しろ、措置命令後に放送されたテレビ番組でも、客を“だまして”いたのだから――。

 6月28日に放送されたフジテレビ系の「所JAPAN2時間SP」と、7月26日に放送されたテレビ東京系の「うちむら見える化テレビ」。所ジョージと内村光良がそれぞれ司会を務め、いずれもスシローの「人気の秘訣(ひけつ)」を探る、といった内容の両番組には共通点が。どちらも、一般的な回転ずしではキハダマグロを使用している所が多い中、スシローは味が濃厚なメバチマグロのみを使用していることを強調していたのだ。

DNA調査を行ったところ…

「メバチマグロのほうが希少性が若干高く、味が少し濃厚だとされているので、キハダマグロと比べて、仕入れ値が約1.2倍高くなっています。スシローは、メバチマグロとキハダマグロの両方を使っているという認識だったので、番組を見て疑問に思いました」

 回転ずし業界に詳しい関係者はそう語る。

「また、店舗で鉄火巻を食べてみたら味が薄いように感じました。そこでスシローにメールで問い合わせたところ、鉄火巻にはメバチマグロが使用されている、と答えてきました」

 納得のいかないこの関係者は、関西地方の5店舗の持ち帰り品で握りずしに使われているマグロと鉄火巻に使われているマグロを、専門業者に依頼してDNA調査をした。その結果、

「ある1店舗で使われている鉄火巻のマグロがキハダマグロだと判明したのです。DNAの同一性が100%となっているので間違いありません」(同)

「産地偽装とは比較にならないほど悪質」

 スシローの運営会社に問い合わせたところ、「握りずし」のマグロは間違いなくメバチマグロだが、

「『鉄火巻』に使用しているマグロの魚種につきましては、社内確認の結果、70%がキハダマグロ、30%がメバチマグロを使用していることが判明しました」

 テレビであれだけマグロ=メバチマグロと強調していたのに、今更キハダマグロの使用が“判明した”とはどういうことなのか。

「メバチマグロとキハダマグロは種として違うことがDNAレベルではっきりしている。種が違うわけですから、産地偽装とは比較にならないほど悪質です。以前、阪急阪神ホテルズがバナメイエビを芝エビとして販売し、偽装表示として問題になり、社長が辞任しました。それと同等の悪質さだと思います」(先の関係者)

 消費者庁の表示対策課に聞くと、今回のケースは、実際の商品よりも優良であるかのように偽る「優良誤認」に当たる疑いがあり、景品表示法違反となる可能性があるという。果たして、再びの措置命令はあるか。

「週刊新潮」2022年9月1日号 掲載

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