燃費データの不正が発覚したスズキが追加調査の結果を国土交通省に報告した。この問題では2回目となる記者会見で、鈴木修会長は「法令を守る意識が薄く、社内のチェック機能が働かなかった」と謝罪したうえで、三菱自動車のような「水増しはなかった」と改めて強調した。
そ れにしても、昨夜のテレビのニュースといい、きょうの各紙の記事といい、スズキの燃費不正に関する報道ぶりは控えめである。消費増税の延期決定や甘利明前 経済再生相の不起訴、それに覚せい剤事件の清原和博被告の有罪判決など大きなニュースが飛び込んできたことも影響しているようだが、スズキの記事を1面で 掲載したのは朝日1紙のみ。
その朝日は経済面のトップ記事としても「組織の体質浮き彫り、各部門機能せず」「軽の燃費競争遠因」「国交省 罰則を検討」などと、書き分けていたが、日経は企業総合面の片隅に「スズキ燃費不正幕引き?」と囲み記事だけである。三菱自動車の場合は連日1面トップで 派手に取り上げた産経なども地味な掲載だ。
その背景には再測定の結果として「対象車の燃費がすべてカタログ値より良かった」という点にあ る。つまり、三菱自の場合は意図的に「水増し申告」していたのに対し、スズキの場合は国の定めた測定方法とは違ったが、結果的には「過少申告」で、燃費に ついては顧客に迷惑をかけていないということのようだ。
国交省は今後、スズキが再測定したデータの妥当性などを精査する方針のようだが、そもそも排ガスの優遇税制にも影響する燃費性能の数値を自主申告させている国の審査体制の甘さが改めて問われている。それだけに、第三者のチェックを含めた国交省の対応が注目される。