ステマはよくある話?テレビ番組

タレントのグッチ裕三がオーナーであることを隠して、自身の店をテレビ番組で紹介したことが物議を醸している。

グッチ裕三といえば、いわずと知れた芸能界屈指の“料理通”。

“料理愛好家”の肩書も持ち、料理番組の出演はもちろん、レシピ本や自身がプロデュースする調理グッズなどをヒットさせている。

実際、料理に関しては並々ならぬ熱意とこだわりを持っていることは業界でも広く知られているが、バラエティー番組で絶賛していた都内にあるメンチカツ屋のオーナーが自身であることが一部週刊誌で報じられたのだ。

「元々あのメンチカツ屋は、グッチさんがテレビで宣伝する前から行列のできる人気店として地元では知られていました。まだ流行っていないお店をプッシュしたわけではなく、すでに人気店になっている店を宣伝したわけですから“自爆”ともいえる行為で、もったいない気もします」(グルメライター)

ある程度のリサーチはするも……

 昨今では、芸能人のお気に入りの店や常連となっているオススメの店を紹介するテレビ番組の企画も多い。
そもそも、こうした企画で制作サイドはそのお店についてどこまで調べているのだろうか?

番組の制作会社ディレクターは語る。

「もちろん取材の段階でお店のことはある程度リサーチします。ただ、余程のことがない限り、オーナーや代表までは詳しく調べません。情報バラエティー番組なんかだと、その店の料理、雰囲気を紹介するのが主な目的ですからね。実際、あるタレントのオススメという店が、そのタレントが所属する芸能事務所が出資している店だったり、普段御世話になっているタニマチが経営に関わっている店だったりというケースはよくあります」

これが報道番組やドキュメンタリー番組となると話は違ってくるのだろうが、バラエティー番組については、そこまで事前のリサーチに力を入れることはないようだ。

テレビ業界でも昔から横行するステマ

 ステルスマーケティング、いわゆる“ステマ”は、消費者に宣伝と気付かれないように商品などをPRする手法でその影響力は大きい。

“ステマ”というとネットの世界の話のように思う人も多い。

実際、ブログやインスタグラムなどでは、あからさまにアピールせずともさりげなくPRしたい商品を写真に写し込んだりというケースもままある。

だが、ネットが普及する前からテレビ業界ではステマが横行していたという。

「情報バラエティー番組ではもちろん、健康番組なんかだと食材や商品を紹介すると、売上が一気に伸びる。だから番組に売り込みは多い。企業を取り上げる経済ドキュメンタリー番組なんかでも、その企業が今一番押している新商品などを番組内でさり気なく際立たせることもある。大々的な宣伝ではないが、視聴者の印象には十分に残りますからね」(前出の番組制作会社ディレクター)

若者たちが離れていき、その存在意義が危ぶまれている中、いまだに昔ながらの体質がはびこっているテレビ業界。

番組内の“ステマ”に違和感を覚えないほど、今の視聴者はバカではないと思うのだが……。

(文責/平田登)

タイトルとURLをコピーしました