スポーツ庁が先日、スニーカーを履いて通勤することなどを呼び掛けるプロジェクトを来年から始めると発表しました。どんな効果があるのでしょう。ビジネスシーンでも違和感のない靴はあるのでしょうか。
猫の小町と申します。まずは文部科学省の外局、スポーツ庁の健康スポーツ課に聞きました。
担当者によると、日本では働き盛りの30代、40代の約8割が「運動不足」と感じているそうです。
国民の1日当たりの歩数平均(2015年)は男性7194歩、女性6227歩。ですが、生活習慣病の予防と改善には1日8千歩が望ましい、という研究結果があるそうです。
そこでプロジェクトは、仕事が忙しくても気軽に始めやすいウオーキングに着目し、スニーカーなどの歩きやすい靴や服装での通勤を促すことにしたそうです。医療費削減にもつなげる狙いがあります。
実は福井県では国に先駆けて、すでに5月からスニーカー通勤を県民に呼び掛けています。
県健康増進課の道上悠弥主査(34)によると、世帯当たりの自動車保有台数が多い福井では、歩く機会が少ない傾向があり「『歩きましょう』では効果が薄いので、スニーカーなどの歩きやすい靴や服装を呼び掛けることにしました」とのこと。企業訪問などを通じて呼び掛けを進めているそうです。
県職員が実際に歩数計を使って調査してみると、スニーカー通勤を始めると、1日千歩ほど歩数が増え、歩幅も大きくなったそうです。
しかし、スーツにスニーカーは合うのでしょうか。社会人としてマナー的に許されるのでしょうか。靴販売の「ABCマート」グランドステージキャナルシティオーパ店で前浜隆幸店長(38)に尋ねました。
近年は、ビジネスシーンでも違和感がないよう、カジュアルさを抑えつつ歩きやすい靴が増えているそうです。靴底が薄い革靴はクッション性がないため、疲れやすく「通勤はスニーカー、職場は革靴…と使い分ける社会人も増えています」と前浜さんは話します。
スーツを着る人には、見た目は革靴風なのに、クッション性の高い中敷きやゴム製靴底を取り入れたものがお薦め。「HAWKINS」の「TRAVELLER HL81000」(1万692円)は、疲れにくいよう低反発の中敷きが入り、足首に当たる部分も軟らかい素材で作られています。
ジャケットとチノパンといったカジュアルな服装で勤務できる人は革素材のスニーカーが似合います。「ROCKPORT」の「DAYVIS」(1万4040円)はスニーカーでも落ち着いた印象です。スポーツメーカーのスニーカーも、靴底のゴムまで黒いタイプを選ぶとカジュアルな雰囲気が薄まります。
女性にも靴底まで黒いスニーカーがお薦めです。中敷きがかかとに向かって分厚くなり、脚を長く見せる「脚長効果」が4センチヒールと同等というものも用意されていますよ。
どうしてもフォーマルな革靴でなければならない場合は、中敷きの活用を。土踏まずの部分が盛り上がっていたり、低反発素材を使っていたりと多様な中敷きがあります。価格も700円から。「1枚入れるだけでも歩きやすさが大きく変わります」と前浜店長は話しています。
お助けいただきありがとうございました。
西日本新聞社