総務省は、スマートフォンの「実質0円」販売などを是正するガイドライン(指針)を順守するよう、NTTドコモなど携帯電話3社に月内に要請する方針を固 めた。各社が主に5月以降に始めた割引キャンペーンを適用すると、スマホの価格が実質0円以下になるケースもあるためで、指針の趣旨に沿わないとして各社 に是正を求める。各社は指針に応じる方針で、7月末で一部の割引キャンペーンが終了する見込みだ。
総務省が問題視している各社の割引キャンペーンが適用されると、他社を解約した新規契約者らが、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォー ン)6s」を約400円程度の負担額で入手できる場合や、6000円程度が還元される場合もある。本来、指針は他社から他社へ乗り換える人への過度な割り 引きを是正するものだったが、各社は指針の“抜け道”を狙ったキャンペーンを展開している。
なぜ、抜け道的なキャンペーンを展開できるのか。指針で総務省は、他社を解約して新たに新規契約する「解約新規」は、実質的に番号持ち運び制度 (MNP)利用者と同じとして、行き過ぎた割り引きを是正する対象としている。ただ、新規契約にはスマホを2台所持する場合など「純粋新規」も含まれるた め、各社が「純粋新規を対象にしたものだ」と主張すると、指針の適用外になる可能性があるからだ。
総務省はこうした各社の主張に対し、「キャンペーン対象の新規契約者は解約新規が多く、キャンペーンは是正の対象になり得る」との指針の解釈を月内に通知する。
携帯会社側からも「指針の解釈を曲解しているキャンペーンもあるようだ。品が良くないものは総務省に訴えていきたい」(幹部)との声も出ており、自粛の方向でキャンペーンの幕引きを図るとみられる。