スマホ人気はiPhoneの牙城崩れる – XperiaやAQUOS Phone、ARROWSが人気

カカクコムは11月7日、「価格.com」における製品別のページビューやクチコミ数などを基に市場の反応や評価を分析する「スマートフォン市場 2013年秋冬」を発表した。
9月20日に国内販売が開始された新型iPhoneは、シリーズで初めて、iPhone 5sとiPhone 5cの2機種同時発売となったが、このうち人気が集中したのはiPhone 5s。国内ではNTTドコモが販売に参入したこともあり、9月13日の製品発表から大きな注目を集め、価格.comの製品ページでもアクセスが急増したという。最も人気があるドコモ版の16GBモデルは、発売日の9月20日に11万5942PVを記録した。
発売後の3日間を含む9月16~22日のアクセス数は47万9780PVで、昨年発売された前モデルiPhone 5のソフトバンク版・au版と比べても圧倒的に高い数字となったという。
3つの通信キャリアを合計したiPhone 5sのクチコミは、10月23日時点で1万件を超え、約6割がドコモ版の製品ページに投稿されている。ただ、購入したユーザーの満足度は、16GBモデルだけで見ればソフトバンク版が4.71、au版が4.5と比較的高いのに比べ、NTTドコモ版だけが3.34とかなり低い。
NTTドコモ版の評価が低い点としては、「9月の発売時にキャリアメールが使用できなかったこと」や「Android端末から乗り換えたユーザーが操作性の違いにとまどったこと」などが影響している。
このような現象は、昨年のau版iPhone 5でも起こっており、ユーザーの期待値の高さと操作や機能に対する理解度の低さが、初参入の通信キャリアにとってはやや不利に働く傾向があるとカカクコムは分析している。今回のNTTドコモ版iPhone 5sの評価に関しても、こうした影響が如実に出ているものだが、「文字変換」の評価が2.44と圧倒的に低いのが印象的だ。
プラチナバンドのインフラではauが一歩リードしており、またLTE全般で見ればソフトバンクが一歩リードしている状況にあり、NTTドコモについては、ほかのAndroid端末などに比べて回線品質が劣るという意見も多く出ているようだ。こうした点も、NTTドコモ版のiPhone 5sの評価を下げている一因であるとカカクコムはまとめている。
○iPhoneの一強体制は終わり?
iPhone 5sに関しては、前述の通り、NTTドコモが参入したことで一定の注目を集めているが、その熱も発売開始から1か月も経った今ではかなり冷めてきている。特に10月後半から、国内通信キャリアのAndroidスマートフォンの最新モデルが発売されるようになると、注目の主役は一気にAndroidスマートフォンのほうにシフトしており、iPhone 5sといえども「スマートフォン」カテゴリーのランキングではかろうじて5位以内に入っているという状況だ。
その中でも特に高い人気を集めているのが、ソニーの「Xperia Z1」だ。Xperia Z1については、今期NTTドコモとauの2キャリアからほぼ同時に発売されたこともあって、「スマートフォン」カテゴリーのランキングでも1位、2位にランクインしている。
なお、Xperiaシリーズは昨年2012年から注目されており、現在のところ国内で流通するAndroidスマートフォンでは最も人気が高いシリーズだ。ピーク時のアクセス数は、2013年春モデルの「Xperia Z SO-02E」が1週間あたり111万4211PVで、iPhone 5sの1週間あたり47万9780PVと比べて約2.3倍となる数値だ。
その中で、10月2日にauが「Xperia Z1 SOL 23」を10月下旬に発売すると発表。これまでドコモが先に扱うことの多かった「Xperia」の最上位機種を、auが先行して発表したことで注目度が高まり、製品ページへのアクセスは10月2日の7970PVから、10日には2万5244PV日まで増加。クチコミも活発に投稿され、「auスマートバリュー」の適用を前提に、ドコモからauへのMNP宣言をする人が相次いだ。
2機種の発売日は、auのXperia Z1 SOL 23が10月23日で、ドコモのXperia Z1 SO-01Fが10月24日と、ほぼ同時だった。アクセス数では、ドコモのXperia Z1 SO-01Fが10月11日にauのXperia Z1 SOL 23を抜き、16日にはピークの3万7020PVを記録した。両機種とも高い人気を維持しており、アップルのiPhone 5sよりも注目度は高いまま推移している。
○Xperiaだけではなく、国内他メーカーも好調
今年の秋冬のスマートフォン市場は、「NTTドコモがiPhoneを発売」という大きなトピックはあったものの、その勢いはそれほど持続してはおらず、ソニーのXperia Z1に代表されるAndroid端末も含めて、かなり混沌とした状況になりつつある。
価格.comの「スマートフォン」カテゴリーにおける各メーカーのPVシェア率の推移を見ると、9月上旬~10月上旬にかけては、iPhone 5s発売の影響でアップルのシェアが最大で6割を超えるまでに高まるが、10月中旬くらいからは、この冬の人気No.1モデルXperia Z1を擁するソニーに抜かれ、現在もソニーが頭ひとつ抜けて1位という状況になっている。
アップルはかろうじて2位をキープしているものの、すぐそばには、IGZO液晶を搭載し、3日間以上のバッテリー持続を実現した「AQUOS PHONE ZETA」が好評なシャープや、やはり3日間ほどの長時間バッテリー駆動をハイスペックで実現した「ARROWS NX」を擁する富士通などの国内メーカーが迫ってきており、予断を許さない状況となっている。
iPhone 5sに関しては、発売当初から在庫の供給不足が深刻で、売れる時期に売れなかったということも、こうしたアップルのシェア凋落傾向に影響を与えているものと思われる。
スマートフォン市場全体で見ると、この冬はソニーの「Xperia Z1」、アップルの「iPhone 5s」、シャープの「AQUOS PHONE ZETA(au版はSERIE)」、富士通の「ARROW NX(au版はZ)」などが中心となっている。
カカクコムは「従来までのiPhone一人勝ちという様相はすっかりなくなり、Android勢も国内メーカー製の製品を中心に、熾烈な戦いを繰り広げることが予想される」とコメントしている。

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