スマホ営業サポート白熱 企業向け事業、ネット草創期並み商機

スマートフォン(高機能携帯電話)が急速に普及する中、企業マーケティング活動のスマホへの対応を支援するサービスが活況を見せている。
 今年度はスマホの国内出荷台数が従来型携帯電話を上回る見込みで、企業が消費者への訴求力を高めて競争に勝ち残るためには、スマホ向けの魅力的なアプリ(ソフトウエア)の提供や、閲覧しやすいサイトの公開が不可欠だ。大手もベンチャーも「インターネット草創期に匹敵する商機」とみて、受注拡大に力を注ぐ。
 ネットベンチャーのイマナラ(東京都千代田区)は、スマホが標準装備するGPS機能を活用したアプリ「イマナラ!」で業績を伸ばしている。利用者の現在位置に近い飲食店やカラオケ店のクーポンを時間・枚数限定で提供する仕組みで、加盟店は、雨天時や宴会予約の急なキャンセルが入った際に「30分以内の来店者は3割引」といったクーポンで機動的に集客できる。枚数限定なので、想定以上のクーポン利用で客単価の低下を招かない点もメリットだ。
 加盟店は都市部を中心に約1万4000店舗。同社は「いずれほとんどの人がスマホを持つようになる。加盟店の伸びしろは大きい」と、さらに拡大を図る。
 企業サイトを、パソコンと比べ画面が小さいスマホでも見やすい仕様に最適化するサービスを展開しているのは、ショーケース・ティービー(同港区)。スマホでの閲覧を検知すると自動的に同社サーバーへ接続、入力しやすいフォームや大きな文字フォントに変換して表示するプログラムで、新たなサイトの制作や既存サイトの加工をする必要がなく、IT投資を抑えられる点がセールスポイントだ。
 営業担当者は「企業がユーザー視点に立つならば、スマホへの対応は絶対不可欠」と売り込む。大手の飲料メーカーや人材紹介会社からも受注しており、先月幕張メッセで催された見本市「Japan IT Week」では、出展ブースが多くの広報担当者でにぎわった。
 両社とも一連のサービスだけでなく、ニーズが高まっている顧客企業単独でのアプリ開発を支援する事業にも力を注ぐ。
 商機を奪われまいと、大手も必死だ。NECビッグローブは、プロバイダー事業で培ってきた企画力やノウハウを武器に「クオリティーの高いアプリをワンストップサービスで提供」とアピールし、開発実績は約300アプリに達している。
 調査会社のMM総研は、今年度の国内の携帯電話出荷台数は計4160万台で、このうちスマホが5割超の2330万台に達すると予測。さらに2014年度末には、スマホ契約数が従来型の携帯を逆転すると見込む。スマホの高機能を活用したマーケティング活動と、その支援サービスをめぐる市場がさらに過熱していくのは間違いないようだ。(山澤義徳)

タイトルとURLをコピーしました