国内メーカーが、スマートフォン(高機能携帯電話)の投入を積極化させている。国内最大手のシャープが、米インターネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」の搭載機を11月下旬にKDDI(au)向けに発売するほか、富士通やNECも2011年度上期までに新規投入する計画。国内メーカーは、スマートフォンで米アップルの「iPhone(アイフォーン)」など海外勢に後れをとっているが、電子マネーの「おサイフケータイ」など日本市場になじんだ機能の搭載などで巻き返しを目指す。
シャープは、アンドロイドOS搭載のスマートフォン「IS03」をKDDIから11月下旬に発売する。IS03は、スマートフォンでは初めておサイフケータイに対応したほか、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」を搭載するなど、従来型の携帯電話で一般的となっている機能を備えたのが特徴だ。
シャープは、KDDIと同様にアンドロイドOSを搭載したスマートフォン「IS01」を6月末から供給しているほか、来春には内側カメラを付けた「IS05」を発売する計画。同社では「日本メーカーならではの工夫」(幹部)を施したスマートフォンを今後も積極投入する。
富士通傘下の富士通東芝モバイルコミュニケーションズは、東芝の薄型テレビ「レグザ」の映像機能を活用したアンドロイドOS搭載機「レグザフォンIS04」をKDDIから来春発売する。富士通の山本正已社長は「スマートフォンの品ぞろえを急いで強化する」と強調する。
一方、NECの遠藤信博社長は10月末に、傘下のNECカシオモバイルコミュニケーションズが11年度上期中にNTTドコモ向けにアンドロイドOS搭載機を発売する方針を表明。遠藤社長は「NECならではの味付けで、最後発から巻き返しを図りたい」と意気込む。
国内メーカーがスマートフォン投入を積極化させている背景には、急激な市場の拡大がある。IT(情報技術)調査会社のMM総研(東京都港区)によると、国内のスマートフォンの年間販売台数は2009年度の217万台から15年度には2030万台に拡大し、携帯電話販売台数全体の過半数を占めるとの見通しを示す。「スマートフォン需要に対応できなければ、死活問題になる」(大手メーカー幹部)との危機感が、積極的なラインアップ強化につながっている。
ただ、アップルなどの海外勢がスタートダッシュで先行しており、今後いかに日本の消費者の需要を取り込む機能を盛り込めるかが国内メーカーの巻き返しの鍵になる。(三塚聖平)