農地で雑草などを野焼きする行為が農産物の放射性物質濃度を高める恐れがあるとして、宮城県登米農業改良普及センターが登米市内の農家らに自粛を呼び掛けている。市や地元農協の協力を仰ぎ、近く野焼きをしないよう求めるチラシを全戸に配布する。
同センターによると、雑草などに含まれる放射性セシウムは燃やすと化学変化を起こし、水に溶けやすくなるという。焼却灰に浸透した雨水が農地にしみ出ると、濃縮された放射性セシウムが作物に吸収される可能性が高い。
登米市内で生産した大豆から昨年11月、1キログラム当たり240ベクレル(当時の国の暫定基準値以下)の放射性セシウムを検出。センターの調査で大豆が採れた農地で4月上旬に、生産者が稲わらを燃やしたことが分かった。
当時、検査対象の大豆は市内7カ所で収穫され、他の6カ所の大豆から検出された放射性セシウムは全て20ベクレル以下だった。
ことし7月、ブルーベリーから基準値を上回る190ベクレルを検出した栗原市の農家でも、収穫前に周辺で野焼きを行った可能性があったという。
県登米農業改良普及センターの佐藤章所長は「断定はできないが、高濃度の放射性物質が検出された原因として、野焼きが影響している可能性が高い」と話す。
みやぎ登米農協によると、市内では3月下旬から4月上旬にかけ、一部農家らが田畑で枯れ草などの野焼きを行っている。夏場に刈り取った雑草は乾燥させ、たい肥などに使う農家がほとんどで、一部の小規模畑作農家が畑で雑草を燃やすケースがあるという。
同農協は通常、刈り取った雑草を農地の外に持ち出すよう指導している。同農協営農企画課は「出荷量が少なくても、高濃度の放射性物質が検出されれば市の農産物全体がダメージを受けるため、自粛に協力してほしい」としている。