東京電力福島第1原発事故で土壌が汚染された福島県などで昨年、約2万2000人の内部被ばくを調べたところ、99%でセシウムが検出されなかったことが11日、分かった。早野龍五東京大教授らが日本学士院紀要に発表した。
調査では、チェルノブイリ原発事故で土壌が同程度に汚染された地域に比べ、内部被ばくの度合いが100分の1程度と低いことが判明した。早野教授は、▽土質により農作物が放射性物質を取り込みにくい▽食品の検査が適切に行われている▽住民が食事に気を配っている―ことが要因と分析、「食品や内部被ばくの調査を続ける必要がある」としている。
早野教授は福島県内の病院と共同で2012年3〜11月、検査機器「ホールボディーカウンター」を用い福島県や茨城県の住民を調査。99%で、セシウム137の値が検出限界(全身で300ベクレル)を下回った。残り約1%の212人は、平均で体重1キロ当たり約10ベクレルが検出された。15歳以下の子どもに限れば、検出率は0.09%だった。