セシウム汚染米、500ベクレル超地区作付け制限 農水省方針

農林水産省は27日、厚生労働省が食品に含まれる放射性物質の新基準値案を示したことを受け、2012年産米の作付け制限の方針を示した。11年産米の検査で暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超えた地区では、12年産米でも新基準値案(同100ベクレル)を超過する可能性が高いと判断。作付け制限を行う必要があるとした。
 11年産米の検査で新基準値案を超えた地区については、作付け制限を行うかどうかを十分検討する必要があるとした。制限区域を現行の旧市町村単位とするかどうかも含め、福島県が進める全戸検査の終了を待って来年4月までに決める。
 いずれ新基準値案が適用されることから、農水省は11年産米の検査で新基準値案を超えた福島県産米を市場から隔離することも決定。農水省関連の公益法人が市場価格に近い金額で買い上げ、県内の倉庫などに保管した後で廃棄処分する。
 買い上げに必要な資金は公益法人が拠出し、東京電力が出す賠償金で補填(ほてん)する。隔離対象は暫定基準値超えのコメに限れば約3600トン、新基準値案超えと合わせると約4000トンに上るとみられ、買い上げ金額は約10億円と推計される。買い上げは来年1月にも開始する。
 宮城県内でも、白石市旧越河村の1地点で新基準値案をやや超過しているが、「既に精米され、流通したと聞いている」(同省)とし、県や市と協議する。
 鹿野道彦農相は27日の閣議後の記者会見で「制限区域は12年産米の作付けに間に合うように正式決定する。新基準値案を超えるコメの隔離も、消費者の不安解消と生産者の経営安定につながる」と強調した。
 佐藤雄平福島県知事は「作付け制限の対象地域が増加すると見込まれる上、食品の新基準値案への対応も求められ、厳しい内容だ。国に除染や賠償、救済策を強く要望する」との談話を出した。
◎6市25地区制限対象か 福島県内
 福島県が県内の2011年産米の放射性物質調査を行った結果、1キログラム当たり100ベクレルを超す放射性セシウムが検出されたコメの産地は27日現在6市25地区に上り(地図)、これらの地区が12年産米の作付け制限の対象になる可能性がある。
 25地区のうち現行の国暫定基準値の500ベクレルを上回ったのは福島市大波、渡利地区、二本松市渋川地区、伊達市保原町柱沢、富成地区、同市霊山町掛田、小国地区、同市月舘町地区の3市8地区。国の出荷停止指示を受け、市場への流通を止めている。農水省の新方針では「作付け制限を行う必要がある」とされた。
 100ベクレル超500ベクレル以下は福島市平田、水原、庭坂地区、伊達市保原町上保原地区、同市霊山町石戸、霊山地区、同市月舘町小手地区、二本松市岳下、大平、小浜、塩沢、木幡、戸沢地区、本宮市白岩、白沢和木沢地区、相馬市玉野地区、いわき市久の浜地区の6市17地区。新方針では「作付け制限を行うかどうかを十分検討する必要がある」地域に入った。
 県は調査を継続中で100ベクレルを超す産地が増える可能性がある。

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