セントラル自新本社工場開所式 知事「非常に感慨深い」

 セントラル自動車の開所式が16日、大衡村の新本社工場で開かれた。自動車関連企業の誘致に奔走してきた村井嘉浩知事や県内市町村長らが出席。自動車生産技術の粋が詰まった最新鋭ラインと従業員約900人を抱える工場内を見て回った村井知事らは「非常に感慨深い」と語り、地域活性化への波及効果に期待を込めた。
 出席者は葛原徹社長らセントラル幹部の案内で、車体部品の取り付けラインなどを見学した。村井知事は「多くの若い人が働いており、大きな雇用の場になっていると実感した。部品が多く、あらためて自動車産業の裾野の広さを感じ取った」と笑顔を浮かべた。
 村井知事と跡部昌洋大衡村長、張富士夫トヨタ自動車会長は開所式後、工場正面のロータリーにケヤキを植樹。東北の新たな完成車製造拠点の発展を祈った。
 跡部村長は「地元として、安定した生産が継続できるように支援を約束する。セントラルにも企業村民として、まちづくりに力添えをお願いしたい」と、産官一体の地域活性化を誓った。
 セントラルの生産設備を製造する若柳工場を抱える栗原市の佐藤勇市長は「新しい産業の幕開けを感じた」。他産業に好影響を与えることも期待し「農業と自動車産業の連携を促進したい」と持論を述べた。
 東北全域での自動車産業底上げを目指す東北経済産業局の豊国浩治局長は「時間はかかるが、各県と連携しながら地元企業の技術力向上や人材育成を、粘り強く丁寧に進めたい」と語った。
◎報道陣国内外から110人
 セントラル自動車が16日に行った大衡村の新本社工場の公開と記者会見には、国内外の報道関係者が詰め掛け、トヨタ自動車の最新鋭工場に対する注目度の高さをうかがわせた。
 仙台市泉区の仙台ロイヤルパークホテルで行われた新美篤志トヨタ副社長と葛原徹セントラル社長の会見。報道機関56社、約110人が集まり、ロイター、ブルームバーグといった通信社など海外メディアも目立った。
 ウォール・ストリート・ジャーナル東京特派員は「円高で生産拠点の海外移転が進む中、国内に大型工場を造った点が興味深い」。米専門紙オートモーティブニュース記者は「最新技術が投入された新工場内部を見られたのは収穫」と話す。
 国内では全国紙やブロック紙などが記者複数を配置。トヨタ本社がある中部地方を拠点にするブロック紙、中日新聞の記者は「東北の企業がどれだけトヨタの下請けに食い込めるか」と注視する。
 会見では「新技術による生産コスト削減効果」「雇用への波及」などに対する質問が相次ぎ、報道関係者は終了後も新美副社長を取り囲んだ。
海外メディアを含め約110人の報道関係者が集まった記者会見=16日午後3時30分ごろ、仙台市泉区の仙台ロイヤルパークホテル

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