国発注の農地の震災関連事業をめぐる談合疑惑事件で、公正取引委員会が5日までに独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査をしたゼネコンなど31社の約半数に、農林水産省から天下りしたOBが在籍していることがわかった。公取委は同日、農水省東北農政局(仙台市)にも立ち入り検査を実施。業者間の受注調整疑惑の実態解明を進める。

関係者によると、各社は東日本大震災後の農地の復旧・復興事業などで、事前に落札者を決めるなどの受注調整をしていた疑いがある。調整には農水省や東北農政局出身で業者側に再就職したOBらが関わっていた疑いがあるという。

公取委は4日、東北農政局発注の農業土木事業を受注したゼネコンなど18社の本社や東北支社などの立ち入り検査に着手。5日にも建設会社13社に立ち入った。

関係者によると、この計31社の約半数にあたる十数社に農水省OBが在籍しているという。

公取委は31社とは別に、関係先として同農政局にも立ち入り検査を実施した。発注元への検査結果も踏まえ、こうした調整行為がどのように行われたかを調べる模様だ。