ソニーが格安スマートフォン分野への参入を検討していることが26日、分かった。流通大手のイオンと組み、早ければ今春に発売する方向だ。携帯電話事業の 立て直しへ構造改革を進めているソニーは、高級モデルに特化する方針だったが、通信料金が安い格安スマホが国内で急速に普及しており、旧モデルを割安販売 する形で参入する。ブランド力の高いソニーの製品が加わることで、格安スマホの市場はさらに拡大しそうだ。
ソニーは「エクスペリア」シリーズの旧モデルを、イオンの各店舗で割安に販売する方向で最終調整している。料金は端末代の分割払いと通信費を合わせて月額3000円程度。端末価格は最新モデルの半額程度に当たる3万円台を想定している。
ソニーは、仮想移動体通信事業者(MVNO)の子会社、ソネットが提供するSIMカードとのセット販売を提案しており、イオンはこれを受け入れる方針 だ。国内では、イオンやビックカメラなどの流通大手が格安スマホの販売を続々と手掛け、日本郵便も2015年度の参入を検討。スマホの通信料金を割高だと 感じているユーザーが少なくない中、月額の負担が携帯大手3社の半額程度で済むため、急速に普及している。
これまでの格安スマホは中国製や韓国製が中心だったが、昨年後半から富士通やシャープなど国内メーカーも供給を開始。ソニーのパソコン部門が独立したVAIO(バイオ)(長野県安曇野市)も日本通信と組み、独自開発のスマホを近く販売する。
格安スマホ事業者間の競争も激しくなっており、各社はラインアップの拡充に力を入れている。イオンは、ブランド力の高いエクスペリアを投入することで差別化を図りたい考えだ。
携帯電話事業の不振が響き、15年3月期の連結決算で2300億円の最終赤字を見込んでいるソニーは、携帯電話は高級モデルに集中し、普及価格帯のモデ ルを削減する方針を掲げていた。ただ、格安スマホが伸びていることから、旧モデルを活用して収益の底上げを狙う。イオン以外への供給も検討している。