ソニー、SUVタイプのEV試作。市場投入も視野に入れた「ソニーモビリティ株式会社」設立

今年はリアル展示とバーチャル展示のハイブリッド開催となったCES 2022。ハリウッドにあるソニーグループのブースでは、CEOの吉田憲一郎氏が講演を行った。その目玉はなんと言っても「ソニーモビリティ株式会社」の設立だ。

この会社にはソニーグループのAIロボティクス部門にあるaibo、Airpeakドローンといった製品のほか、ヤマハと共同開発した”ソーシャブルカート”のSC-1が移管されるが、やはり注目はEV(電気自動車)の事業化の検討を発表したことだろう。

さらなる詳細は春のソニーモビリティの設立時となる見込みだが、現段階では「EVの事業化に向けての検討(ソニーグループ広報)」とのことで、具体的な製品化計画やロードマップがあるわけではない。

しかし、一方で過去2年間の開発成果をまとめることで、自社開発のEVに付加価値を与えられると考え始めたのだろう。

今回はSUVタイプのEVも試作

ソニーグループは2年前のCESでVISION-Sと名付けたオリジナルEVのコンセプトモデルを発表。新たな開発要素を加え、アップデートを重ねてきた。今回のCESではアップデートされたVision-Sとともに、SUVタイプのコンセプトカー「VISION-S 02」も持ち込まれている(従来のVISION-SはVISION-S 01と呼ばれるようになる)。

engadget

吉田CEOはソニーグループのEV技術が持つ価値について、「Safety:安心安全なモビリティ」「Adaptability:人に近づき、共に成長する」「Entertainment:モビリティエンタテインメント空間の深化」の三つの領域に言及した。

安全性の面では、自社製自動車向け高性能イメージセンサー、小型LiDARを核に、それらセンサーを用いたトータルの安全ソリューションをこれまでも提案、提供してきた。そうした成果を適時盛り込み、2年の間、実走テストを重ねてきた現在のVision-Sには、車の内外に40個のセンサーが配置されているという。

Adaptabilityの面では、スマートフォン向けに開発してきた成果が活かされる。aiboが飼い主の様子や周囲の状況を把握するときにも使っているToF方式の距離画像センサーを用いて、ドライバー認証やパッセンジャーを見守るためのモニタリング機能を提供しているという。

また、直感的なクルマのインターフェースへの進化を目指し、ジェスチャーコマンドや音声コマンドを実装し、パーソナライズされた(つまりユーザーの好みに合わせた)コックピットのデザインや情報配置、あるいは加減速フィーリングの設定などを提供するという。

もちろん、5Gによる通信機能を備えており、クラウドによってパーソナライズ設定が同期され、車両本体のアップデートもOTA(Over the air)で反映されるという。つまり、常に最新の機能、安全性へと追従するよう設計されているということだ。

そしてEntertainmentに関しては、そもそものソニーのDNAと言えるだろう。車内のオーディオシステムは3D音響技術の360 Riality Audioに対応し、最新BRAVIAにも搭載される「BRAVIA Core」が内蔵されているという。

これらを融合することでEVの体験価値を高め、自動車という商品を再定義することがソニーモビリティ設立の目的になるという。

まだ具体的な製品計画を発表する段階ではない。

しかし、EVを差別化するコア技術が揃ってきたことが、ソニーグループの自信につながってきているようだ。まずは2月の事業会社設立における発表に期待したい。

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