ソニーが世界のスマホシェア3位に急浮上!!? 「削る機能は削る」姿勢が高評価 

IT市場調査会社Canalysは、2012年第3四半期のスマートフォンの売り上げで、ソニーが、サムスン、アップルに続く第3位につけた、と発表した。1位のサムスンが32.0%、2位のアップルが26.9%に比べると、ソニーは5.1%と大きく水をあけられているものの出荷台数は880万台と躍進。Xperia P、S、U、tipoなどのシリーズの売り上げが欧州で好調だったことが原因として挙げられている。Xperiaシリーズの発売がソニーエリクソンからソニーに移ったとはいえ、ソニーがトップ5に入るのは2006年以来だというから快挙といってもいいのかもしれない。
しかし、メーカーとしてのソニーの置かれた状況は危機的だ。11月9日、格付け会社ムーディーズ・ジャパンはソニーの格付けを最下位の「Baa3」に引き下げた。2012年4~9月期のソニーの連結決算は、401億円の赤字。そんな中、Xperiaなどを出しているソニー・エリクソンの100%子会社化によるモバイル事業がソニーの中では大きな売り上げを占めるようになった。
そんなソニーが今年3月から展開している新Xperiaシリーズ「NXT」のスマホ戦略は興味深い。開発者が「削れるところはどんどん削っていこうとした」と語る潔さは、国内のスマホ陣営の中では異端だ。他の国産端末の多くは、ガラケー機能やスペックで勝負しようとしているが、まさにその逆を行く戦略といえる。画面サイズもむやみに大型化させるのではなく、3.5インチ~4.3インチに収められており、使いやすさを重視。また、「他社が開発したら2年はかかる」というLEDが点灯する透明素材の「フローティングプリズム」でデザインの差別化を図っている。スペックには表れない独自性には、ソニーらしさを強く感じる。
サムスン、LG、HTCも海外では安価なエントリーモデルを出しているものの、基本路線は「大型化、薄型化、詰め込めるところは全部詰め込む」だ。結果的にスペックや機能でiPhoneを凌駕しているとはいえ、ディスプレイの大型化、薄型化は、もはや限界だ。これ以上大きくなれば手に収まるわけがないし、薄すぎても持ちづらいだけになる。これからさまざまなニーズが増えるであろうスマートフォン市場で、独自のカラーを打ち出すソニーの今後に期待したい。(岡嶋佑介)

タイトルとURLをコピーしました