ソニーとMS、クラウドゲーミングで提携。PS4のDL速度もアップ?

ソニーとマイクロソフトは16日(米現地時間)、戦略的提携を締結したと正式に発表しました。詳細は今後詰めるとされていますが、主にクラウドゲームとAIについての協力が軸となった内容となっています。

ソニーの吉田憲一郎社長は渡米し、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOと直接に意向確認書を取り交わしました。今回の提携につき最大の驚きが、それぞれPS4とXbox Oneというゲームプラットフォームを擁しながら、ライバル関係を超えたクラウドゲーム分野での協力でしょう。

両社はゲームとコンテンツストリーミングサービスをサポートするクラウドソリューションをMicrosoft Azureで構築することを計画しているとのこと。またソニーは既存のゲームおよびストリーミングのプラットフォームとして、マイクロソフトのデータセンターを使用すると述べられています。

この提携が直ちにソニーにもたらすメリットは、同社が苦手としていたクラウドやネットワーク分野に支援が得られること。PS4のダウンロード速度は遅すぎると海外でも長年批判を集めていましたが、Xboxユーザーからはそうした声が上がっていません。Azureデータセンターに移行すれば、技術的な問題の解決に自社のリソースを割くことなく、ゲームプラットフォームの充実に専念できるわけです。

さらにソニーは、マイクロソフトのAI技術(Cortana)を消費者向け製品に搭載することも検討。Cortanaの現状を考えれば素直に喜べるかは微妙なところですが、AIアシスタントと自然に話せる新技術などが組み込まれれば見通しが明るくなるかもしれません。

その一方、マイクロソフト側のメリットは収益性の高いクラウド事業に大手顧客を加えること以外には、ソニーの持つ世界最先端の画像センサーと半導体の技術にアクセスを得られることでしょう。同社の持つAzure AI技術を統合することで、「新しいインテリジェント画像センサーソリューション」を開発する予定がうたわれています。

クラウドゲーミング(ゲームストリーミング)は処理の負担が大きいゲーム本体をクラウド上のサーバで動かし、画面や音声をスマホやタブレットなどのデバイスに転送するサービスのこと。これまでのように「まずゲーム専用機を販売し、普及させる」という時間やコストが省ける事情もあり、ハイテク大手各社がこぞって参入を表明している分野です。

GoogleはYouTubeのゲーム動画からすぐプレイできる”Stadia”を年内に展開すると発表。マイクロソフトも「Project xCloud」を年内にパブリックテストを開始するとアナウンス済みですが、その技術およびインフラを他社に提供する上で、最もインパクトの大きいソニーを提携先に選んだとも推測できそうです。

思い返せば、頑なに他社ゲームプラットフォームとのクロスプレイを拒んでいたソニーが、昨年9月に一転して『フォートナイト』での方針転換を表明。あの頃から、マイクロソフトとの提携は協議されていたのかもしれません。

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