ソニーXperia、SIMフリーに本気

ソニーモバイルがSIMフリー市場にXperiaシリーズ3機を投入すると発表。ファーウェイが困難な状況に置かれるなか、SIMフリー市場の勢力図が入れ替わる可能性はある。 【もっと写真を見る】写真:アスキー

 ソニーモバイルが、SIMフリースマホ市場にXperiaシリーズ3機種を投入することを発表しました。待望のSIMフリー本格参入を歓迎する声がある一方、「なぜこれまでソニモバは本気を出さなかったのか」という疑問もあります。   ■SIMフリー版はデュアルSIM、独自の有償サービスも  今回SIMフリーとして発表されたのは「Xperia 1 II」「Xperia 1」「Xperia 5」の3機種です。キャリア版との違いとして、3機種ともデュアルSIMに対応しており、2枚の物理SIMカードを使い分けることができます。    Xperia 1 IIでは、SIMフリー版限定の本体カラーとしてマットな質感の「フロストブラック」が登場。メモリーは12GB、ストレージは256GBに増量されています。    注意点として、SIMフリー版のXperia 1はFeliCaを搭載せず、おサイフケータイは利用不可。ワンセグやフルセグには3機種とも非対応となっています。    直販サイトのソニーストアでは、24回の分割払いの手数料が無料。既存のXperiaの下取り価格への上乗せや、nuroモバイルの申し込みでキャッシュバックするなどのキャンペーンを実施します。    サポート面では有償の「Xperiaケアプラン」が新たに登場しました。これに加入しておくと故障や水濡れ、全損などの際に、大きな負担をすることなく交換や修理のサービスを受けられます。   ■キャリアと競合するSIMフリーに参入  これまでソニーモバイルは、「Xperia 1 Professional Edition」などの例外を除いて、SIMフリーへの参入に乗り気ではありませんでした。    その背景として、日本のスマホ市場はキャリアが大半を占めているという事情があります。MM総研の調べでは、2019年のスマホ出荷台数におけるSIMフリーの比率はわずか10.4%です。    各キャリアはMVNOやSIMフリーへの流出を警戒しており、あの手この手で囲い込みを図っています。SIMカードの「使い分け」ができてしまうデュアルSIMも歓迎していません。    そこで端末メーカーは、キャリア向けにはシングルSIM仕様のハイエンドモデル、SIMフリー向けにはデュアルSIM仕様のミッドレンジモデルと、展開機種を分けるのが通例でした。最近、キャリア採用が増えたOPPOも、しっかり前例を踏襲しています。    こうした視点から見ると、Xperia 1 IIの発売日は10月30日とキャリア版から約半年遅れになっており、キャリアへの「配慮」を感じる面はあるものの、これまでの慣習を打ち破るという意味でも、勇気のある決断といえます。   ■SIMフリー5Gスマホとしても貴重な選択肢に  果たしてSIMフリーのXperiaは売れるのでしょうか。日本のSIMフリー市場では2~4万円台がボリュームゾーンで、今回発表されたハイエンド3機種が売れる余地は限定的です。そういう意味では、SIMフリーに向いた価格帯の「Xperia 10 II」がないのは寂しいところです。    一方、市場環境は追い風が吹いています。SIMフリーで人気のファーウェイは困難な状況に置かれており、勢力図が入れ替わる可能性があります。ソニーがターゲットとする「好きを極める」人々や、プロフェッショナル用途との相性も良さそうです。    対応バンドにもSIMフリーの強みが活かされています。キャリア版は自社のネットワークにバンドを最適化しているのに対し、SIMフリー版は国内キャリアの周波数に広く対応しています。    5Gに対応するXperia 1 IIは国内のサブ6バンドとしてn77、n78、n79の3つを網羅する予定となっており、貴重な「SIMフリー5Gスマホ」としても注目の1台といえます。

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