太陽光発電の動力だけで初の世界一周飛行に挑戦していたスイスの実験 機「ソーラー・インパルス2」が26日午前4時(日本時間同日午前9時)すぎ、最終目的地のアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに到着した。1年4 カ月余りにおよぶ冒険の成功は、再生可能エネルギーの利用促進に向けた世界的なアピールとなる。
同機は1人乗りで、ともにスイス人のベルトラン・ピカール氏(58)とアンドレ・ボルシュベルク氏(63)の2人が交代で操縦。2015年3月にアブダビ を出発し、東回りにインド、中国、米国、スペインなどで小刻みに離着陸を繰り返しながら飛行してきた。最終経由地のカイロを現地時間の今月24日に離陸 し、アラビア半島上空を経由してアブダビに戻った。
15年6月1日には南京から米ハワイに向かう途中、悪天候のため予定外で名古屋空港(愛知県豊山町)に着陸。破損した翼の修理などで約1カ月間の待機を余儀なくされた。
名古屋からハワイ・オアフ島まで117時間52分をかけて太平洋を越え、ソーラー機による連続飛行の世界記録を樹立。太平洋横断中にバッテリーが故障し、約10カ月にわたりハワイに足止めされた。当初計画の5カ月間から、ほぼ1年遅れの「ゴール」となった。
ピカール氏は最終飛行中の24日、ツイッターで「クリーンテクノロジーは、現代の環境問題の役に立つべきだ。ソーラー・インパルスは、このメッセージを伝えるために開発された」と述べていた。