【マニアック街道】
ついにマニアック街道は、箱根の山を越えて関東までやってきました。目的地は東京・上野。「ああ、動物園とアメ横のあるところね」と思う人も多いのでないだろうか。実は、動物園のある上野公園は、歴史や文化の宝庫なのだ。しかもタダでも楽しめるものも多い。ということで上野を2回に分けて紹介しよう。
JR上野駅公園口を降りると、目の前にあるのが東京文化会館。クラシック音楽やバレエ、オペラの専用ホールだ。開館から来年で50周年を迎えるが、音響のよさから現在でも国内トップクラスとされる。
その右手が国立西洋美術館。戦後、フランス政府から返還された松方コレクション(印象派の絵画およびロダンの彫刻を中心とするフランス美術コレクション)を展示するため、昭和34年4月に開館した。
本館は20世紀を代表する建築家、フランスのル・コルビュジェの設計で、重要文化財に指定されている。現在、コルビュジェの作品群を世界遺産にしようと、フランスやスイスなどとともに日本もエントリーしている。
前庭にはロダンのカレーの市民、地獄の門、考える人などがあり、これは無料で見られる。
この先、角を右に曲がると国立科学博物館が見えてくる。昭和6年に完成した現日本館だ。正面に垂直の柱が並び、れんが張り、当時の洋館の趣を十分残している。これも重要文化財だ。その奥には地球館。生物の進化が展示されている。
建物の前には本物の蒸気機関車D51や実物大のシロナガスクジラの模型が置かれている。
その先は国立博物館。ここは敷地に入るのに料金が取られるが、正面は昭和12年に完成した本館は、大正12年の関東大震災で破損した旧本館(明治15年開館)の代わりに建てられた。定冠様式と呼ばれ、城郭のような建物だ。ここには日本の歴史が順を追って展示されている。
向かって左隣は表慶館。大正天皇の御成婚を記念して建てられた、明治末期の洋風建築だ。こちらはアジアの歴史の品々が展示されている。建物はいずれも重要文化財に指定されている。さらに構内には、法隆寺宝物館もあり、奈良・元興寺の別院、十輪院にあった校倉造の経蔵も移築されている。
江戸時代の大名、因州池田藩の屋敷門もあり、これは道路からも見られる。
この先、左手には旧東京音楽学校(現在の東京芸術大学)奏楽堂がある。明治23年に完成した日本最古の様式音楽堂だ。これも重要文化財だ。一時、取り壊しの話も出たが、昭和62年に東京芸大から上野公園内に移築された。2階の音楽ホールには日本最古のパイプオルガンがあり、毎週日曜日(一部除く)にはコンサートも行われる。入館料は大人300円。関係者の話によると、このホールは、反響材や防音材を使っていないのに、とても音響効果がよいそうだ。
その向かいに、小さな洋館がある。国会議事堂の中央部のような建物は、よく見ると「博物館動物園駅跡」と看板がある。昭和8年に開業、平成16年まで存続した京成電鉄の駅である。国立博物館に合わせた重厚な造りだ。乗り降りしたことはないが、スカイライナーなどで京成上野を出るとすぐに、真っ暗な中に駅らしいものが見えるのがホームだ。
その隣は黒田記念館。明治期の日本画壇を代表する画家、黒田清輝が美術の振興に役立てるよう遺産の一部を寄贈。これを利用して、昭和5年に建てられた美術の研究所だ。記念室が毎週木、土曜日の午後1~4時に公開されている。これは登録重要文化財だ。無料。
その隣が、国際子ども図書館。国立国会図書館国際の分館で、児童書専門の図書館だ。明治39年造られた帝国図書館を改修して利用している。
非常に豪華な建物で、東京都の歴史的建造物に指定されている。子供だけに使わせるのはもったいない?
この先は東京芸術大学のキャンパスが続く。
ずいぶん長く書いてきたが、まだ半分もきていない。続きはまた、別の機会に。