ツイッターのフォロワー数ランキングを見ると、日本人ではソフトバンクの孫正義社長などが上位に入っているが、さらにその上を行く人物がいた。
故ジョン・レノンさんの妻オノ・ヨーコさんだ。英語が多いせいもあり、現在100万人以上にフォローされており、国籍や人種を問わず人気だ。音楽業界関係者によれば、オノさんの評価は海外で近年より一層高まっているという。
2010年1月10日現在、日本のツイッターアカウントのフォロワー数を見るとホリエモンこと堀江貴文さんが56万、鳩山由紀夫前首相が67万、そして一番多いのが孫社長の73万だ。
平和へのメッセージを伝える
だが、日本出身者といった括りでみると、もっとも多くの人にフォローされているのがオノ・ヨーコさんだ。
ビートルズの元メンバー、ジョン・レノンさんの妻で、現在77歳。高齢にも関わらずツイッターを使いこなしている。約116万人にフォローされており、孫社長よりも40万人以上も多い。呟きはほとんど英語。内容はというと、
「今こそ行動を起こすとき」「行動こそが平和です」
「未來に微笑みかければ、あなたに微笑み返してくれるでしょう」
「あなたの足があなたと地球を繋ぐ接点です。足に気を配ってください。綺麗にし、ブラシをかけ、マッサージしてあげてください」
といった、詩的なメッセージが多い。
芸能人のツイッターのように、自分のファンと遣り取りする交流の場ではなく、平和活動の一環としてオノさんの考えをリアルタイムで伝えるといった感じだ。
ジョン・レノンさんの世界的人気を反映してか、オノさんのフォロワーが使っている言語は、英語だけでなくスペイン語や仏語、韓国語など様々だ。すぐには判別できない、見慣れない言語もある。逆に日本語はほんの少しだ。
ジョンの思想、元々はオノ・ヨーコのもの?
ただ、ジョン・レノンさんが死去してから30年も経った今、何故これほどまでに人気なのか。音楽評論家の加藤普さんは「オノ・ヨーコは海外での方が、評価が高いんですよ。前衛芸術家としても高く評価されています」と語る。
オノさんは2001年に自身の40年の創作活動を振り返る「YES YOKO ONO」展で、アメリカ美術批評家国際協会の、ニューヨークにおける最優秀美術館展賞を受賞。09年にも国際展覧会、ベネチア・ビエンナーレの生涯業績部門で金獅子賞を受賞している。当時の報道によれば、主催者側はオノさんについて「パフォーマンスアートとコンセプチュアルアートの先駆者。現代において最も影響力を持つアーティストの1人」と説明したという。
また、オノさんはジョン・レノンさんの遺志を継ぎ、「LOVE&PEACE」の理想のもと今も平和活動を続けている。加藤さんは、
「ジョンが結婚したとき、一般の人からすれば略奪愛だったので、オノ・ヨーコは『悪い女』という印象だった。西洋人からすれば貧相な東洋人ですしね。しかし、ジョンはオノ・ヨーコを通して東洋思想に接し、彼女と一心同体になって平和活動を行った。オノ・ヨーコはジョンの死後も30 年にわたり一貫して『LOVE&PEACE』と言っています。彼女はジョンのメッセージを伝えていると言っているけど、今ではむしろ、オノ・ヨーコがジョンにすり込んだと思われ始めている。そうなってくると、オノ・ヨーコを認めざるを得ないんです。彼女の評価は60~70年代よりも肯定的で高いものになっています」
と話している。