ツキと運の違いとは?「見えないもの」を信じるということ

ご存知の方も多いと思いますが、『大きく稼ぐ経営者になる 脳のアップグレード術』(西田文郎著、現代書林)の著者は、日本におけるイメージトレーニング研究・指導の先駆者的存在。

1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチするノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。

これを活かしながら、日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に数多く携わっている人物です。

そして本書は、著者が2006年に出版した『ツキを超える成功力』(現代書林)に加筆・修正した新装版。

2006年当時は、「自分の未来は、自分がつくり出すのだ」という気概を持って、果敢にチャレンジする若い人が少なくなかったといいます。

しかし、それから12年が経ち、未来を変える冒険よりも、安全志向の若者が圧倒的に多くなったと実感しているのだそうです。とはいえそんな時代にも、大きな意欲を持っている人は当然存在します。

少数派かもしれませんが、ガツガツ稼いで、ガツガツ経験を積み重ね、ガツガツ腕を磨いて、さらにその先へ行こうとする人間は必ずいるものなのです。どんな時代でもそうでした。

小さな自己満足を超えて、さらにその先を目指す。 念のために申し上げておきますが、そういう生き方がよいというのではありません。そうなるべきだと推奨するのとも違います。ただ、その先を目指す人たちが、日本の産業を、また文化を、科学を、芸術を支えてきたし、今でも支えているのは疑いのない事実です。

(中略) そういう彼らこそ、やがて日本の未来をつくり、社会の“ゆとり”を生み出し、人々の暮らしをより幸せなものに変えていくのです。 数は少なくてもそんな彼らのために、この本を再度、世に送り出すことにしました。(「まえがき」より)

そんな本書の終章「今は何をすればいいのか」のなかから、重要なポイントを抜き出してみたいと思います。

 

見えないものを信じない者は一流になれない

かつて『面白いほど成功するツキの大原則』(パンローリング)という本を出版したこともある著者は、これまでに何度となく、ツキについて質問されてきたのだそうです。

そんななかで気づいたのは、「世の中には、ツキも運も似たようなものだ」と思っている人が意外に多いということ。しかし、この2つはまったく本質が異なっていると主張しています。

・ツキとは、誰にでも訪れる一種の波である

・ツキの波をつかまえた者が成功する

・ツキの波が見えない者は、ツキをつかめずに成功しない

・大成功は人生最大のピンチを乗り越える力を持った、強運の持ち主にしかやって来ない

・強運の持ち主とは、ツキを卒業した者である

(189ページより)

もし「ツキも運もどうせ迷信だ、そんなものが存在するはずがない」という人がいたとしたら、この考え方を理解するべきだといいます。なぜなら、目に見えないものを信じない人間は、なぜか一流にはなれないものだから。

ところで世の中には、稼ぐことが苦手な人から、とことん稼ぎすぎている人、あるいはお金も幸せも夢も分かち合いたいという人まで、さまざまな「稼ぎの段階」があるもの。著者はそれを、次の5つのレベルに分類しています。

①なかなか稼げないレベル

②ぼちぼち稼げるレベル

③大きく稼げるレベル

④もの凄く稼げるレベル

⑤もう稼ぐのは十分で分かち合いたくなるレベル

(190ページより)

そして、この稼ぐレベルの5段階ごとに、その特徴を「稼ぐ目的」「エネルギー」「ツキ・運」「状態」の4つに分けてまとめたのが以下の表。

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Image: 現代書林

この表で探せば、自分が次の成功レベルヘステップアップするためにはなにが必要なのかが、すぐにわかるそうです。(188ページより)

プラス思考でいればツキの波をつかまえられる

ツキは本質的に他人が持ってきてくれるものなので、つまりは「出会い」であると著者は言います。出会いに恵まれなければ、どんな素晴らしい才能であっても決して開花しないということ。

チャンスを持ってきてくれる人とさえ出会えない人が成功することは、間違ってもないというのです。

しかし、だからといってツキは、放っておいても向こうからやってくるわけではありません。いわば、自分で呼び込むもの。「なかなか稼げない」人たちが、いくらがんばってもツキに恵まれないのも、むしろ、がんばるほどツキがなくなるのも、そこに原因があるのだといいます。

ツキのない人たちには、ひとつの特徴がある。人相学的に問題があるとか、悪い星のもとに生まれたということではない。

ツキのない人たちは、自分のツキのなさを自分以外の、誰か(何か)のせいにしたがるという共通点を持っているのだ。

(中略)“他責”、つまり都合の悪いことは人のせいにし、他人を責める気持ちが強いというのが、ツイていない人たちに共通する特徴である。(193ページより)

こういうタイプは、まわりの人に嫌われるもの。そして、その結果、ツキを運んでくれる人、助けてくれる人がいなくなってしまうから、いつまでも同じレベルにとどまることになり、「もっと稼げるレベル」へ脱出することがますます困難に。

そういう「なかなか稼げない人」がそこから抜け出すために必要なのは、「自分のため」という自覚。「なにが自分のためになるか」という自覚が希薄だと、向上心も素直さも乏しくなるので、なかなか本気になれないわけです。

逆に、自分に起こることはすべて「自分のため」であると思える人間を、著者は“自責”の人と呼んでいるのだそうです。彼らはどんな悪い状況にいても、必ず「自分のため」になると思えるからこそ本気で取り組めるということ。

ツキのあるなしも、やはり本人の責任。自分はツイていると思うがゆえに、チャンスに対して積極的になれる。そして、そういう人のところにこそツキはやってくるというわけです。(192ページより)

どんな人にもツキが尽きるときは必ずやってくる

だからこそ、いまから「私はツイてる!」と思うべき。そう自分に言い聞かせると、だんだんツイてる人間の感覚になってくるというのです。それは、脳の扁桃核が“快”になるからなのだそうです。

・ツキが味方していると脳が“快”になるから、前向きになれる

・ツキが味方していると脳が“快”になるから、平気で大きな勝負ができる

・ツキが味方していると脳が“快”になるから、前頭葉が活発に働き出す

・ツキが味方していると脳が“快”になるから、素直になり、まわりの信頼を得られる

・ツキが味方していると脳が“快”になるから、楽しいオーラが出て、人に好かれる

(196ページより)

「私はツイてる!」と思うことができれば、稼げない人も、稼げないなりに稼げるようになるもの。また、「ぼちぼち稼ぐ」レベルであれば、「自分はツイてる」と考えて戦略・戦術を駆使している人のほうが、駆使していない人よりも大きく稼げるということ。

まったく同じ戦略・戦術であったとしても、結果がまるで違ってくる。いわば、「ツイてる」と思う人間が、ツキを呼び込めるわけです。

ところが、ツキには限界があるもの。どんなにツイている人間でも、一生に一度はツキもなにもなくなり、ドカンと落ちるときがくるものだというのです。

ツキは、きっと破綻するときがくる。 世の中にはプラス思考や向上心では、どうにもならないときがある。 プラス思考など通用しない大困難があり、「ツイてる」とは、どうしても思えないような苦しい状況があるということだ。

目の前が本当に真っ暗になる…。いっそ死んだほうがいいぐらい打ちのめされた状態で、「これは、いつか自分の役に立つ。おれはツイてる」などと思えるわけがない。 人生というのはよくしたもので、そんな大困難がどんな人にも一度はやって来る。

「ツイてる」とか「ありがたいと思え」とか言っていられるのも、じつは人生が順調にいっているあいだのことである。あなたが、幸せである証拠にほかならない。本当にプラス思考が必要になるときは、ほとんどの人がプラス思考になれない。(197ページより)

しかし、そんなときにも信じられるものが「運」。強運を自分のものにできるのは、苦しみを克服した人間であるという考え方です。

そして強運の人間は、「自分」よりも、他人や社会に対する愛情を優先するものなのだとか。だから他人のために働くことが“快”になり、それが楽しくておもしろくなるというのです。

価値の優先順位が「自分」ではなく「他人」や「社会」になるから、感謝の深さが違ってくるということ。ちなみに「強運の人」の特徴をあげると、次のようになるそうです。

・人生の真の「苦」を克服した人たちである

・理想を超えた真の他喜力を持っている

・天を味方につけたような、運の強さを持っている

・自分の運を強く信じ、先祖・神仏に強く感謝している

(202ページより)

つまり大きな苦しみは、すでに強運のはじまり。苦しみが大きければ大きいほど、それを乗り越えたときは強運の持ち主になれるというわけです。

そのため、大きな苦しみがやってきたときには、そのあとに訪れる自分の強運を信じ、期待感とともに克服していけばいいということです。(196ページより)


真の成功者は、本書に示されているような「心のプロセス」を必ずたどるものだと著者は断言しています。

そして本書に感化されれば、(感化されることが、いいことか悪いことかは別としても)間違いなくワクワクできると考えてもいるのだそうです。

だからこそ読んでみれば、なんらかの気づきを得ることができるかもしれません。

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