テトリスの商品化権、電通が獲得

ソ連で生まれた世界的ヒットゲーム「TETRIS(テ トリス)」の日本国内商品化権を、電通が獲得しました。オンライン上では年間で数十億のテトリスシリーズのゲームがプレイされており、海外では「ポップ」 「クール」な存在として受け入れられているというテトリス。電通は今後、テトリスを使ったカフェや食品、アパレルなどを企画していく予定です。

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「資本主義を堕落させるための共産主義の陰謀」

 テトリスは、1984年に生まれました。開発したのは、当時のソ連のモスクワ生まれのアレクセイ・パジトノフ氏です。ソ連初のヒットゲームと言われています。

上から落ちてくるブロックを消していく「落ち物」と言われるパズルゲームの元祖と言われています。

日本では1988年からゲームセンターのアーケードゲームとしてヒット。任天堂ゲームボーイのソフトになると、2台の端末をつないだ対戦ゲームとして人気を集めました。

1989年9月9日、作家の高橋源一郎さんは朝日新聞のコラムに「テトリストの憂鬱」と題したコラムを書いてます。

「いつしかこの世に存在するものすべてがブロックに見えてしまい『おお、あのビルとあのビルの間は、あそこのビルを持ってきて回転させるとぴったりだ な』とひとりごとを呟く『テトリスト』に変貌させるおそるべきゲームであり、『資本主義を堕落させるための共産主義の陰謀』という陰口も、あながち冗談と はいえないとさえ思われるほどなのだった」

「最初期の『ピンポンゲーム』にはコンピューターと対戦するという目的が、『ゼビウス』や『エイリアン』には宇宙人打倒の目的が、『信長の野望』には全 国統一の目的が、それぞれの最小限の獲得目標として、というかゲームをするためのアリバイとして設定されているのだが、しかし『テトリス』にはゲームをす る『目的』も『意味』も存在しないのである。それ故、『テトリスト』は永遠に憂欝であることを運命づけられてしまったのだ」

DJイベント・バー・アパレルを企画

 テトリスの全世界における所有権はテトリス・カンパニーが持っています。

電通では、テトリスのゲーム音楽を使ったDJイベントや、テトリスをテーマにしたカクテルが楽しめるバーの出店、アパレルなどでの商品化を検討していきます。

担当者は、その狙いについて「今後、当社は幅広い業種の企業とのタイアップを推進し、さまざまな商品をお届けしていきます」と説明します。

名作ゲームの事業化、過去にも

 ヒットゲームを使った事業は、他のタイトルで多く見られます。

ボードゲームの「モノポリー」は、版権がいくつかの会社の間を移り、現在はタカラトミーが所有しています。

不動産をテーマにした「モノポリー」の特徴を生かして、現実の世界に置き換えたユニークな商品が生まれています。2006年には秋田版モノポリーが誕 生。海外では香港版やスターウォーズ版などもあります。2015年には、JR西日本の環状線PR策の一つとして、大阪環状線のモノポリーが発売されていま す。

飲食店では、カプコンが新宿でカプコンバーを運営しています。お店は外国人にも人気の歌舞伎町。カラオケ店パセラリゾーツとのコラボ企画として誕生しました。

店内には、ゲームの実機はもちろん、キャラクターのフィギュアなども飾られています。料理や飲み物は、カプコンを代表するゲーム「モンスターハンター」や「ストリートファイター」にちなんだものが用意されています。お店には、海外からも熱烈なファンが訪れています。

現在、ハイスペックなゲームが主流のゲーム業界において、テトリスのシンプルなルールとレトロな世界観は、逆に強みになりそうです。電通は今後、世代を超えたファンを持つテトリスの魅力を、様々な分野でビジネス化していくとみられます。

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