テレビは金のかからないタイアップバラエティーだらけになる。

 深夜バラエティーをゴールデンタイムでやるのはやめてもらいたいね。
 連休中3日の「お試しかっ!&Qさま!!GWだから合体SP」(テレビ朝日)の「お試しかっ!」は、かつては深夜枠だった。見てない人に説明すると、人気企画「帰れま10(テン)」は牛丼屋やファミレスで5~6人の芸人がその店の人気ベスト10のメニューをすべて当てるまで、自分たちが頼んだ食べ物を食い続ける。それだけ! 小学生が考えたのかよ? と聞きたくなる安易な企画だ。
 3日は“東名高速人気グルメ”と題して、海老名のインターチェンジに並ぶ屋台や店のメニューをロケバスの中で食べ続けたからスタジオ代ナシ。出演する芸人はおそらく各自の私服姿だから衣装代もない。芸人のアドリブトークだからリハーサルも必要ない。
 司会のタカアンドトシは達者だし、ブラックマヨネーズが出るとしゃべりがおもしろいが、この手の安いバラエティーは深夜にやるからいいのだ。ちょっと人気が出て経費もかからないからとゴールデンに昇格させるテレビの風潮がバカげてる。結局、中身がなくても、芸人が揃えばどうにか盛り上げてくれるだろうという情けない企画が横行しすぎだ。芸人を集めてカラオケ大会をやる特番も同じだ。お笑いブーム継続中といえば聞こえはいいが、現状は芸人のしゃべり頼みの番組ばかりだ。
 しかも、牛丼屋やファミレスの宣伝番組の側面を持っているのも問題だ。今後もお安い深夜番組がゴールデンに昇格するだろうが、オレの予想では、メーカーとタイアップした通販番組もゴールデンに進出する。「ええ! こんなに安いの!?」と大げさに驚く“リアクション芸人”頼みになるわけだ。テレビは金のかからないタイアップバラエティーだらけになる。
(元芸人、作家・松野大介)
(日刊ゲンダイ2010年5月8日掲載)

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