テレビマン100人が回答「起用したいMC」2位は安定の内村光良、1位は?「ギャラ80万円でコスパよし」

「今のテレビ番組に求められているのは『社運を賭けた大型企画』よりも『手堅い安全なもの』なんです」

 そう語るのは、某局のプロデューサーだ。

 YouTubeやインターネット番組の台頭に加えてコロナの影響などもあり、変革を余儀なくされているテレビ業界。その煽りを食う形で、ギャラが高い大物司会者の番組の打ち切りや、大御所タレントの降板が相次いでいる。

 例をあげると、ビートたけし(75)が、3月いっぱいで『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)を降板すると発表。27年間続いた『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)も、4月に終了予定だ。立川志の輔(67)が司会を務めてきた『ガッテン!』(NHK)はすでに最終回を迎え、坂上忍(54)がMCを務める『バイキングMORE』(フジテレビ系)も、3月での終了が決まっている。冒頭のプロデューサーが続ける。

「大掛かりなセットやロケは敬遠されがちで、なるべくコンパクトに仕上げられるものが優先される。当然、制作費も縮小傾向ですから、出演者も、大物タレントよりコスパに優れたタレントが重宝されていますね」

 そうした背景もあり、テレビでの司会者の顔ぶれも大きく変わりつつあるという。

 今回、大手広告代理店が民放キー局5社の関係者100人に実施した「あなたの番組で使いたい司会者」アンケートの結果を入手した。

 見事1位に輝いたのは『ラヴィット!』(TBS系)を筆頭に、複数の番組でMCを務める、お笑いコンビ「麒麟」の川島明だ。この結果を予測できた人は、正直少ないのではないか。

「『ラヴィット!』は苦戦中ですが、少し毒があって、トレンドになりそうな発言も的確に出てきます。女性視聴者から嫌悪感を持たれていないのも魅力。現在、各局でスケジュールの取り合いになっています」(テレビ局編成担当)

 現在、地方局やラジオも含めるとレギュラー12本を抱える売れっ子だが、今年もその勢いは続きそうだ。

■「コロナ禍では『大物』はコスパが悪い」

 川島に続いたのが、「どんな性質の番組であれきれいにまとめてくれるし、どんなゲストでも、いいところを引き出してくれる」と、プロデューサーたちからの支持が厚い内村光良。

 1時間あたりのギャラは川島の約2倍だが、「自分自身もプレーヤーとして楽しんで番組に参加してくれる。なによりも、大物にもかかわらず現場に口を出さないことが逆にすごい。スタッフからすれば、もっともやりやすい司会者の一人です」(制作会社ディレクター)と、高い評価を得ている。

 3位には、意外な名前があがった。ジャニーズグループ「A.B.C-Z」の河合郁人だ。お笑いコンビ「フットボールアワー」の後藤輝基に似ていることから “きれいな後藤” とイジられることもあるが、お笑い賞レースの司会もこなす本家・後藤(10位)を順位で大きく上回った。

「この2年ほどで、急速に司会者としての仕事を増やしています。どんな立ち位置であっても無難にこなせるし、ゲストを立ててしゃしゃり出ないところに好感が持てます」(テレビ局編成担当)、「高年齢の女性視聴者の獲得のためにも、まだギャラが安い今のうちに使いたい」(番組プロデューサー)など、欲しがるテレビマンは多数。

「1人では厳しくとも、誰かと組めば、いまや最強かも」(放送作家)との声があがったのが、4位に入ったNMB48の渋谷凪咲(なぎさ)だ。でも、司会者として以前に、タレントとしてもまだ “売り出し中” では!?

「潜在力がピカイチなんです。渋谷さんの緩さは番組のいいエッセンスになる。 “ネクスト” を探しているテレビマンはみんな指名するのでは」(制作会社ディレクター)

 続く5位は、渋谷の “先輩” にあたる指原莉乃。AKB48選抜総選挙で史上初の3連覇を達成し、グループ卒業後はあっという間に売れっ子に。

「すでに十分な実績もあるし、発言もネットニュースに響く。音楽からトレンド、さらにお堅い情報番組までマルチにこなせるし、柔軟性は業界一」(テレビ局編成担当)と信頼は厚い。

 7位に入ったのは、コンビとしても大ブレイク中の「かまいたち」濱家隆一。

「以前仕事をしたとき、台本に忠実に進行してくれてやりやすかった。『ZIP!』(日本テレビ系)への出演がきっかけで、視聴者にも好印象」(制作会社ディレクター)と、躍進は今年も続きそうだ。

“お笑い第七世代” からは、「霜降り明星」が13位にランクイン。「コンビのバランスもよく、仕切りもうまい。毒気のある番組ならば十分に対応できる」(放送作家)。

 19位のお笑いコンビ「チョコレートプラネット」は、「意外と司会を回すのが上手で驚いた。ギャラがこれ以上高くならないうちに起用しておきたい」(プロデューサー)などの声があがった。

 ランキング上位には芸人、アイドルの名前が集中したが、11位には人気タレントの佐藤栞里が入った。『有吉の壁』(日本テレビ系)ではアシスタントとしてメインの有吉弘行をうまくサポートしている。「視聴者からの好感度が高いし、ゲストにも好評なんです。人柄がよくてスタジオが和みます」(AD)と、現場人気が高い。

 20位には、SHELLY、小島瑠璃子と並んで若手女優の松岡茉優がランクイン。「女優さんが司会だと品格が出る。お笑いを仕切らせてもうまかった」(某局編成)と、目をつけているテレビマンは多い。

 26位にも川口春奈、28位には上白石萌音も入った。それぞれ、「『紅白』での落ち着いた司会ぶりは見事だった」、「機転が利くので司会者としても優秀。ザ・優等生という感じも安心材料」(某局プロデューサー)と業界でも高評価だ。

 今回、視聴者にも「好きな司会者」についてアンケートを実施したが、そこであがった名前は、テレビマンたちが「起用したい司会者」とは大きく異なる結果となった。視聴者投票で1位、2位にあがったマツコ・デラックスと有吉弘行は、テレビマンのアンケートでは30位にも入らなかったのだ。冒頭のプロデューサーが語る。

「今回、テレビマンたちが選んだ顔ぶれの大半は、1時間あたりのギャラが100万円以下のタレントばかりです。『大物』司会者である、タモリさんと所ジョージさんも、ギャラをディスカウントして生き延びている状態です。

 ベスト30のギャラの平均額は79.5万円と、大物たちに比べればはるかに安い。この結果こそが、テレビ業界は『コスパ』の時代を迎えたというなによりの証しでしょう。有吉さんもマツコさんも、コロナ禍で制作現場が縮小する今では、コスパが悪い司会者になっているのです」

 時代の変化と、オミクロン株の感染爆発で厳しい状況がまだ続きそうなテレビ業界。今回、名前があがったなかから誰が飛び出すか、この春の大型改編から目が離せないーー。

写真・本誌写真部、アフロ

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