テレビ朝日、家庭の電力使用量グラフから「テレビ」削除で物議 捏造朝日の面目

猛暑が続き、電力需給がひっ迫しているとして政府が企業や各家庭に節電を呼びかける中、テレビ朝日が家庭の電力使用量に関するグラフを加工して番組で紹介したとして物議を呼んでいる。Twitterで拡散されている画像によると、番組ではグラフから「テレビ・DVD」の使用分(8.2%)をカットして放送していた。Twitterでは「捏造だ」「悪質すぎる」などの声が挙がっている。Twitterでの指摘に対し、同社は事実関係を認めた上で「丁寧さに欠けていた」と釈明した。

●電気使用割合が4番目に多い「テレビ」 経産省調査

 テレ朝が番組で紹介したのは、資源エネルギー庁(経済産業省)が作成した「家庭における電気の使用割合」(夏季の午後7時ごろ点灯帯)という資料。元の資料を見ると、家庭の午後7時ごろの電気使用最多は「エアコン」(38.3%)で、「照明」(14.9%)、「冷蔵庫」(12%)がそれぞれ続いた。「その他」(8.8%)を除いた場合、「テレビ・DVD」(8.2%)は家庭内で電気の使用割合が4番目に多い家電製品だ。

 経産省は資料内で、テレビについて「省エネモードに設定して、画面の輝度を下げましょう。見ていない時は消しましょう」と呼び掛けている。これにより、2%の節電につながるという。

 だが、テレ朝は「テレビ・DVD」を「その他」(8.8%)に組み入れ、4番目に電気使用が多いものを「炊事」(7.8%)として放送していた。このため、Twitterではテレ朝の対応を批判する声が相次いでいる。

●「テレビ」削除理由は「全体の文字数減らすため」

 テレ朝は取材に対し「ご指摘の円グラフは6月27日(月)の『スーパーJチャンネル』で放送したものと同じ」と回答。Twitterで拡散された画像を放送に使用したことを認めた。経産省の資料を引用してグラフを作成したという。

 円グラフからテレビを削除した理由を問うと「エアコンの電気の使用割合をお伝えするのが主眼だったため」とした上で「エアコン、冷蔵庫、照明、給湯、炊事まではグラフ上に記したが、見やすいように全体の文字数を減らすため、洗濯機・乾燥機以降の項目についてはその他としてまとめた」と説明した。

 その他の中に「テレビ・DVD」(8.2%)が含まれていたものの「円グラフ作成の過程で丁寧さに欠けていたが、『テレビ・DVD』(8.2%)を隠す意図は全くなかった」とし、意図的な削除との見方は明確に否定した。

 ただ、視聴者に誤解を与えたのは事実だ。このため、同社は6月30日付けの同番組で、「テレビ・DVD」を含んだ円グラフを放送し、改善に取り組んだという。

●「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」レポートが話題に

 家庭での電力消費量を巡っては、野村総合研究所(野村総研)が2011年に発表したレポートで「テレビ消せばエアコンの1.7倍の節電効果」とも受け取れるデータを盛り込んでいたことが話題になった。野村総研は「当時と今では家電の性能が異なる。参考程度にとどめてほしい」と注意を呼び掛けているものの、記事への反応をみると、テレビの電源を消すことで一定の節電効果があると受け止める読者が多い。

 これに加え、テレビ局は国民の財産でもある公共の電波を活用して、事業を運営している。放送法第4条でも「報道は事実をまげないですること」と明記している。テレビへの不信感を避けるためにも、今後は正確な報道が求められそうだ。

●ITmediaビジネスオンラインの質問

・Twitterで拡散されている画像はテレビ朝日のニュース番組で報道されたものという認識で合っているか

・経産省の元資料には「テレビ・DVD」(8.2%)との記載がある。Twitterでの指摘が事実なら、なぜ「テレビ・DVD」をカットし、「その他」に組み入れて放送してしまったのか。その理由・狙いをお答えください

・Twitterでの指摘が事実なら、今後、どう改善していくか。今後の対応方針をお聞かせください。

●テレビ朝日の回答全文

 ご指摘の円グラフは6月27日(月)の「スーパーJチャンネル」で放送したものと同じです。

 この円グラフは経済産業省がホームページ上で公開している「夏季の省エネ節電メニュー(東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)」の中にある「家庭における電気の使用割合(夏季の点灯帯・19時頃)」の円グラフを引用する形で作成しました。

 エアコンの電気の使用割合をお伝えするのが主眼だったため、エアコン、冷蔵庫、照明、給湯、炊事まではグラフ上に記しましたが、見やすいように全体の文字数を減らすため、洗濯機・乾燥機以降の項目についてはその他としてまとめました。その中に「テレビ・DVD」(8.2%)が含まれていました。

 円グラフ作成の過程で丁寧さに欠けていましたが、「テレビ・DVD」(8.2%)を隠す意図は全くありませんでした。

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